右肘の靭帯損傷で投球を控えているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。野球統計学の権威であるビル・ジェームズ氏が算出した「先発投手ランキング」では141位にランクインしている。

 メジャー1年目の大谷は、前半戦で9試合に先発して4勝1敗、防御率3.10の数字を残している。

 セイバーメトリクスの第一人者として知られ、球界にいくつもの変革をもたらしたジェームズ氏は、選手の能力を数値化する計算式を多数編み出してきた。

 そんなジェームズ氏が、「テニスやゴルフには毎週更新される世界ランキングがあるのに、なぜ野球にはないのだろうか?」と疑問に思い、編み出したのが「先発投手ランキング」だ。

 ランキングの算出方法はこうだ。

 まず、全ての先発投手に300ポイントが与えられる。

 投手が先発すると、先発した試合の「ゲームスコア」の3割がポイントとして加算される。

 「ゲームスコア」とは、ほとんどの読者の方が聞き慣れない言葉だと思うが、ジェームズ氏が考案した「ゲームスコア」とはこう言うものだ。

先発投手は50ポイントが与えられる
アウトを記録する度に1ポイント
4イニングを投げると、以後1イニングを投げるごとに2ポイント
奪三振1つにつき1ポイント
被安打1つにつきマイナス2ポイント
自責点1につきマイナス4ポイント
自責点が付かない失点1につきマイナス2ポイント
与四球1つにつきマイナス1ポイント

 9回を投げ、27奪三振の完全試合を達成したと仮定すると、50+27(アウト・ポイント)+10(イニング・ポイント)+27(奪三振ポイント)で、114ポイントが与えられる。9回を投げた場合、この114ポイントが最大となる。

 実際の試合で先発投手が得た歴代最高の「ゲームスコア」は、1998年5月6日の対ヒューストン・アストロズ戦で、シカゴ・カブスのケリー・ウッドが、9回を1安打、無失点、20奪三振、無四球に抑えた試合での105ポイント。

 現役の選手だと、ワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザーが2015年10月3日のニューヨーク・メッツ戦で17奪三振、無四球でのノーヒットノーラン(味方野手のエラーで走者を1人出した)で、104ポイントのパフォーマンスが最高だ。

 長いメジャーの歴史の中でも100ポイント超えの試合は14回しか達成されておらず、現役だとシャーザーが2回、クレイトン・カーショー(ロサンゼルス・ドジャース)、ゲリット・コール(アストロズ)、そして意外にもブランドン・モロー(カブス)がそれぞれ1回ずつ記録している。

 100ポイント試合達成の歴代最高はノーラン・ライアン(エンゼルス、テキサス・レンジャースなど)の3回だ。