2018.4.23 16:00
岩手が生み出した傑物、大谷翔平と菊池雄星 (c)朝日新聞社

 開幕から投打に渡る活躍を見せ、早くも全米から注目を集めている大谷翔平(エンゼルス)だが、次にメジャー球団が獲得を狙う選手となると、菊池雄星(西武)がその筆頭格となるだろう。

 プロ入り後は故障の影響で伸び悩んだ時期もあったが、徐々に安定感が増し、昨年は最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得するなど名実とも日本球界最高のサウスポーと呼べる存在だ。本人も早くからメジャー志向が強く、今シーズンオフにはポスティングシステムでの移籍が有力視されている。そしてこの二人の出身校は花巻東(岩手)であり、生まれが岩手県というところも共通点だ。

 なぜ、日本を代表するような投手が岩手県、花巻東から誕生したのだろうか。その理由を探ってみたいと思う。

 改めて大谷以外の現役メジャー選手とその出身校、出身県をまとめると下記の通りとなった。

■イチロー(マリナーズ):愛知県 愛工大名電(愛知)

■岩隈久志(マリナーズ):東京都 堀越(東京)

■田沢純一(マーリンズ):神奈川県 横浜商大高(神奈川)

■田中将大(ヤンキース):兵庫県 駒大苫小牧(北海道)

■ダルビッシュ有(カブス):大阪府 東北(宮城)

■平野佳寿(ダイヤモンドバックス):京都府 鳥羽(京都)

■前田健太(ドジャース):大阪府 PL学園(大阪)

■牧田和久(パドレス):静岡県 静清工(静岡)

 全体的に高校野球が盛んな地域が目立つ結果となった。過去に活躍した選手を見ても、野茂英雄、松井稼頭央、黒田博樹、上原浩治など大阪が多く、高校でも前田健太、松井稼頭央、福留孝介の出身校であるPL学園が目立つ存在だ。東北地域ではダルビッシュ有、佐々木主浩、斎藤隆を輩出した東北高校が健闘しているが、岩手については大谷以外は皆無という状況である。岩手から日本を代表する投手が短期間に二人続けて出現したことがいかに稀であるかがよく分かるだろう。

 その背景としてまず考えられるのが、岩手県の高校野球レベルの向上ではないだろうか。これまでの春、夏の甲子園大会の勝利数は53勝で47都道府県の中で40位。勝率で見ると.356(53勝96敗)と大きく負け越しており、順位は41位と全国的に見ても下位に低迷している。しかし、過去10年(2008年春〜2017年夏)の20大会に限って見てみると23勝18敗と勝ち越しており、勝利数、勝率とも11位タイと大きく躍進しているのだ。

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