プロ野球・独立リーグの四国アイランドリーグplus(四国IL)は今季、14年目のシーズンを迎えた。
これまでに選手61人、指導者16人、審判11人、球団スタッフ27人を日本野球機構(NPB)12球団に送り込むなど、日本の野球界において「独立リーグ」という存在が次第に定着しつつある感はある。

それでも、近い将来を展望してみれば、決して明るい材料ばかりではない。特にリーグ4球団が本拠を置く四国は、都市圏に比べても少子高齢化、人口減少の進行度が早く、
今後の観客動員数、さらにはスポンサー数の伸びが大きく期待できない状況にある。

その“予測できる危機”が目に見えている状況に対し、リーグ側もただ手をこまねいているわけではない。新規ファン層の拡大、さらには新たなるビジネス展開の一策として、四国ILが打ち出した前代未聞のプランがある。
2018年3月27日に愛媛・松山市内のホテルで行われたリーグの開幕記者会見の場で、四国IL・坂口裕昭理事長から発表されたのは「プロバスケットボールリーグ」とのコラボレーションだった。

四国ILが今年からの参入を予定しているのが、3人制バスケットボールのトップリーグ「3×3.EXE PREMIER」。5年目の今季は36チームが参戦。
北日本、関東北、関東南、中部、西日本、九州・沖縄の6地区に分かれており、まず今季は徳島1球団が“先行参入”、西日本カンファレンスに所属することが決まっている。

プロ野球の球団が、なぜ他競技に携わるのか−−。
その最大の狙いを、坂口理事長は「3人制バスケのファン層が野球ファンとは一番離れたところにいる層だから」と説明する。

「3×3」が開催される会場は、リズミカルな音楽が流れ、スポーツウエアも鮮やかで、ファン層も10代から20代の若者が中心になる。
照明やDJ風のアナウンスでの演出はもちろん、最先端の音楽やダンス、ファッションとの親和性が高く、スポーツ会場でありながら、アーティストのコンサート会場のような雰囲気を醸し出している。

こうした“空気感”は、野球場にはないと断言できる。

試合を行うバスケットコートも、3人制の場合は横15メートル、縦11メートルで、通常の5人制の横15メートル、縦28メートルの半分以下のスペースで済む。
こうした“省スペース”の特性を生かし、3×3のプレミアリーグでは、ショッピングモールの一角や街中の広場などでの試合開催が可能で、実際に開催実績もある。

一方で、野球場は数万人レベルの観客が収容できるが、グラウンドは両翼100メートル前後、本塁からバックスクリーンまで120メートル前後、これにファウルゾーンが加わる。
つまり、単純計算でも、3×3のコートが70〜80面近くは入ってしまうスペースがある。

その広さで「音が拡散しまったりする。そもそも、地方球場は、エンターテイメントを前提につくられていないところがある」と坂口理事長は指摘する。
さらに、昨年の四国ILの1試合平均の観客動員は622人。会場の大きさと球場の観客動員とのバランスが悪いのは否めず「大きなコンテンツに、もてあましている部分がある。ショッピングモールのバスケットコートでの600人と、松山の「坊っちゃんスタジアム」の600人では、雰囲気も見た感じも違うでしょ?」という坂口理事長の指摘にはうなずかざるを得ない。

それでも「四国で1回600人、年40回、毎回お客さんが入るようなイベントはあるのかと言えば、なかなかないと思う」と坂口理事長。つまり、集客力の点では独立リーグに分があるが、
会場の魅力やエンタテイメント性では、明らかに3人制バスケが優位に立つ。

このように、プロ野球にはなく、また創り出すことが難しい魅力や特色、さらには客層を持った別のプロスポーツとの連携を通して、新たなファン層を引き込む「きっかけ」にしたいという狙いが、今回の新機軸を打ち出した背景にある。
3人制バスケは、2年後の東京五輪で正式種目として採用されており、今後のさらなる普及、競技人口や人気の拡大が見込まれている。

つづく

4/16(月) 16:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180416-00000017-sasahi-base&;p=1