「最後に追いついた点を評価すべきだろう。(昨年11月の)ブラジル戦、ベルギー戦の連敗後にも書いたが、ワールドカップに向けては負けを積み重ねるべきではない。チームとして悪い流れを止める必要があった」

 ミケル・エチャリ(71歳)はそう語り、3月23日に行なわれたマリ戦について一定の評価を示している。

 エチャリはスペインの名伯楽と言える。レアル・ソシエダ、エイバル、アラベスというバスク地方のトップクラブで、強化部長や育成部長、トップ監督、ユース監督、戦略分析担当といった役職を30年近くにわたって務めてきた。

ホセバ・エチェベリア、フランシスコ・デ・ペドロ、シャビ・アロンソという元スペイン代表の中心選手たちに大きな影響を与えている。

「マリ戦をスカウティングして、『ワールドカップへの希望が高まった』という楽観的評価はできない。しかし、これはあくまで準備の試合。新しい選手を試した試合であり、そのなかにあって戦術が機能していたか、の細部を見る必要があるだろう」

 エチャリは、「ミスター・パーフェクト」と言われる千里眼で、分析を始めた。

「ハリルホジッチ監督にとっては、テストの意味合いが強いゲームだった。GK中村航輔、右SB宇賀神友弥、MF大島僚太、攻撃陣も森岡亮太、宇佐美貴史など、主力とは言えない選手が先発。さらに言えば、昌子源も代表の右CBは不慣れだったはずだ。

 これまでの主力組である吉田麻也、酒井宏樹は不在、川島永嗣、山口蛍、本田圭佑も先発を外れ、コンビネーションの部分で不具合が生じるのは、計算の上だったのではないだろうか。その意味で序盤の戦い方は悪くない。

 昌子が大迫勇也を狙った縦パスはGKにクリアされたが、まず敵を慌てさせている。宇賀神、大迫、久保裕也という連係からも鋭くゴールに迫った。長友佑都が裏を取られ、決定的なパスをシュートまで持ち込まれるシーンはあったものの、中村が好セーブを見せるなど、マリの攻撃を受けながらも優勢に試合を進めていた。

 マリは”平凡”の域を出ないチームだろう。しかし、タフでスピードに優れ、高いインテンシティでプレーできる選手たちを揃えていた。そしてトップに入ったアブドゥライ・ディアビのようにテクニックに優れ、軽快なドリブルでゴールまで持ち込める選手も擁しており、侮れない。

 4−1−4−1で中盤に人を集め、日本の攻撃を断ち切り、跳ね返していた。例えばスレイマン・ディアラは森岡の流動性を奪い、ボールを持たせても、決定的パスを封じ込んでいた」

 エチャリは日本とマリの戦力を比較しながら、冷静に分析を続けた。

「日本はわずかに連係が合わなかったが、可能性は感じさせた。例えば長友は、攻め上がって、深く入るまでの判断はとてもよかったが、パスのタイミングや角度が少しずれていた。急造チームとして悪くはなかった。

 しかし、前半の途中から、ひとつひとつのプレーが遅くなってしまう。4−2−3−1というバランスを重視したシステムを選択していたが、不必要なショートパスが入って、マリのスピードのあるプレスに捕まる場面が出てくる。日本は受け身に回ってしまった。

 そして前半42分、日本はマリにPKを与えている。エリア内で宇賀神のキックが相手の脚に当たってしまった。不必要なPKだったと言わざるを得ない。

つづく

4/4(水) 11:40配信 スポルティーバ
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