終盤を迎えつつあるメジャーリーグのオープン戦において、エンゼルス大谷が投打双方で不振を極めている(3月21日時点で投手としては防御率27.00、打者としては28打数3安打、打率.107)。

 本来ならマイナー契約を結んだだけの1新人選手であるにもかかわらず、各メディアは大谷が試合に出場するたびに結果を大々的に報道し続けている。大谷の才能を認めつつも、23歳の若さであることも考慮して、マイナーで経験を積むべき、というのが現地メディアの主な論調になりつつあるが、エンゼルスのゼネラルマネジャーであるエプラー氏もソーシア監督も大谷が開幕ベンチ入りするかどうかを未だに明言していない。

 既に6人制先発ローテーションの導入を始めてしまっていること、大砲プホルスをDHから一塁に回し、昨年までの正一塁手C.J.クロンをトレード放出してしまったというチーム事情もあるだろう。大谷が開幕ベンチ入りしないとなると、投打の大きなピースがチーム編成のパズルから外れてしまうことになることは明らかだ。

 それ以外にも、エンゼルスが大谷を簡単にマイナー降格させるわけにはいかない背景として、球団の販売営業サイドからの思惑、ひいては地元経済への影響も見逃すことは出来ない。例えば、エンゼルスの公式オンラインショップにおいて、「17番・大谷」は「27番・トラウト」と並んで、グッズ販売ではチームの顔というべき存在になっている。

能力以外の面でも大きな影響を及ぼす

 エンゼル・スタジアムは7月12日のマリナーズ戦で大谷のボブルヘッド人形を配布することを既に発表している。ボブルヘッド人形はスター選手の証とも言え、2018年度のエンゼルスでは大谷の他にはゴールドグラブ賞を3回受賞しているシモンズ遊撃手と野球殿堂入りが決まったゲレーロ元外野手しかボブルヘッド人形配布の予定はない。

 大谷がメジャーのベンチ入りをするかどうかによって、エンゼルス球団の収入が大きく左右されることは間違いないのだ。

 大谷がキャンプ入りした日の記者会見ではエンゼル・スタジアムからさほど離れていないトーランス市に拠点をもつ船井電機がエンゼルスのスポンサーになることも発表されている。記者会見の背景やホームプレート後方の看板で船井電機の名前が宣伝されるわけだが、大谷が出場しないということになると、特に日本における宣伝効果が激減することは明らかだ。

 エンゼル・スタジアムは大谷の加入によって日本からの観戦ツアーが増えることを予想し、あるいは期待し、チケット販売やカスタマー・サービスに日本語職員を急募までしている。チケット販売、グッズ販売、さらには周辺の観光収入まで含めて、大谷への期待は1野球選手としての能力以外の面にも及んでいる。

 上記のような経済的理由がどの程度エンゼルスの判断に含まれるかは外部からは窺うことはできない。いずれにせよ、3月29日の公式シリーズ開幕まで残された時間はあとわずかしかない。

2018年3月23日 1時0分ベースボールキング
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/14472496/