「誰もそれについて話してくれない。全体的なプランが分かっていない」

 メジャーを代表する強打者、エンゼルスのプホルス(38)が、米全国紙の「USAトゥデー」にこう語ったのは、3月上旬のことだった。

 大谷翔平(23)がメジャーでも投手と指名打者の二刀流を継続するためには、指名打者であるプホルスがかつての本職である一塁に回る必要がある。だが、プホルスは首脳陣から、自身の明確な起用方針を3月上旬時点で知らされていなかったようだ。

 それでもこの強打者は、「オレの仕事はユニホームを着てプレーすること」と話し、一塁守備についても前向きに捉えている。今季は通算3000安打まであと32本、2000打点まで82打点に迫っており、これが一番のモチベーションになっているのだ。

 しかし、肝心の打者大谷の調子が一向に上がってこない。

日本時間19日のレンジャーズ戦でも4打数無安打に終わり、オープン戦の打率は・083とついに1割を切った。開幕まで残り10日、投手としても結果が出ず、米メディアからは「マイナーから出直すべき」との意見が出始める中、エンゼルス周辺ではこんな声がある。

「大谷のみならず、プホルスも不振に陥っている。毎年、春先は調子のいいプホルスが、ここまで06年以降最悪の打率2割台前半でノーアーチ。衰えもあるが、一塁守備の負担が大きいのは明らか」と、某米メディア記者がこう続ける。

「プホルスの一塁コンバートは、大谷が指名打者として機能することが前提。しかし、首脳陣は打てない大谷に多くの出場機会を与え続けている。もちろん大谷に経験を積ませることも大事だが、まずは主砲のプホルスが活躍しないことにはチームは成り立たない。プホルスを指名打者に戻すことを検討すべき。そうでないと、チームに不協和音が生じかねない」

大谷は19日、当初はマイナー戦に出場する予定だったが、急きょ変更された。ソーシア監督によると、プホルスが多くの打席数を確保するべく、マイナー戦出場を希望したためだという。

 大谷は日本時間21日のダイヤモンドバックス戦に出場予定。バットで雑音を封じ込めたい。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/225474/3