◆冒険家 荻田泰永さん 南極点に無補給で単独踏破

南極点への無補給での単独歩行に挑戦していた冒険家の荻田泰永さん(40)が、日本時間の6日未明、南極点に到達することに成功しました。
支援者によりますと、南極点への無補給での単独踏破は日本人では初めてだということです。

北海道鷹栖町在住の冒険家、荻田泰永さんは、これまでに2度、食料や水などの補給を受けない無補給での単独歩行による北極点への到達に挑みましたが断念しています。
今回は目標地点を南極点に変更して、去年11月17日に南極大陸の海岸線を単独で出発し、南極点までのおよそ1130キロを無補給で踏破しようと挑戦していました。

荻田さんは食料やテントなどを積んだ重さ100キロ余りのそりを1人で引きながら歩き、気温が氷点下20度を下回ることもある中、標高がおよそ2800メートルの南極点を目指していました。
そして、出発から50日目となる6日午前9時半すぎ、荻田さんから「日本時間のきょう午前1時45分に南極点の到達に成功した」と、支援者のいる東京の事務所に衛星電話で連絡が入りました。

荻田さんからは、南極点に設置されているモニュメントの前で笑顔で日本の国旗を掲げる様子を写した写真と、南極点到達を示すGPS受信機の写真も送られました。
支援者によりますと、無補給での単独踏破は日本人では初めてだということです。

荻田さんは「小さな一歩を積み重ねればどんな困難な道でも進めることや、挑戦し続けることのすばらしさを改めて学んだ」と話し、喜びを語っていました。
荻田さんは今月22日に帰国するということです。

1月6日 17時53分 NHKニュース 動画あり
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180106/k10011280681000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

◆荻田さんとは

荻田泰永さんは神奈川県出身の40歳。大学を中退した直後にテレビ番組で冒険家の大場満郎さんの活動を知り、22歳のときに大場さんが主催する企画で初めてカナダの北極圏に入り、700キロを歩きました。

翌年は1人で北極圏を訪れたほか、アルバイトをして資金をためては毎年のように通うようになり、これまでの18年間で15回、北極圏を訪れ、合わせて9000キロ以上を歩いていました。

6年前と4年前にはカナダ北部の島を出発し、途中で物資の補給を受けずに800キロ先の北極点を目指す無補給単独踏破に挑みましたが、いずれも天候の悪化で断念していました。

また、荻田さんは冒険の経験を生かして、夏休みに小学生の子どもたちと国内で160キロをキャンプしながら歩く企画などを主催しています。
南極点までの厳しい環境
荻田さんの支援者によりますと、物資の補給を受けずに南極点への単独踏破を達成したのは世界でも30人に満たないということです。

南極点への到達は海岸線から出発するという世界共通のルールがあり、今回、荻田さんが挑戦した出発地点まで航空機で行けるルートでは、およそ1130キロの距離があります。

さらに、標高およそ2800メートルの南極点を目指す際には、冷えた空気がみずからの重みで吹き下りる「カタバ風」と呼ばれる向かい風にさらされることになります。

今回の挑戦でも、風速10メートルの向かい風に一日中さらされながらおよそ15キロ余りを歩いた日もあったということです。

また、途中で物資の補給を受けないことから、そりに積む食料や水などの量を多くする必要がありますが、引いて歩ける重さにも限界があるため挑戦が可能な期間も限られます。

今回はおよそ60日分の荷物100キロ余りをそりに積んで、氷点下20度を下回ることもある厳しい自然環境の中で南極点を目指していました。

つづく