>>1の続き)

 もう一つ重要なのは、OTTは必要であれば好きなだけチャンネルを提供できることです。Jリーグだと、週末であれば同時に21程度の試合が開催されることがあります。
一方、平日には試合があまりありません。我々はトランスポンダー(中継器)を保有しているわけではないため、そこに投資する必要がありません。そうなるとコスト構造が全く違ってくる。
その分、コンテンツに投資ができるわけです。この部分は本当にうまく機能していると思います。

■放送局より低い投資で品揃え

 DAZNのユーザーインターフェースは、Netflixと同様にタイル状のものです。タイルに映画の代わりにスポーツコンテンツが入っています。ライブ中継もたくさんあります。

画像:DAZNのコンテンツラインナップ。サッカーのUEFAチャンピオンズリーグおよびUEFAヨーロッパリーグは2018年シーズンから配信予定
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/070800035/120500042/lineup.JPG

 Netflixよりちょっと進んでいるのは、我々はPPV(pay per view)ではないことです。つまり、1回お金を支払ったら後はコンテンツを見放題です。
DAZNが提供するコンテンツをすべて見るには、従来はおよそ5つの衛星放送に加入する必要がありました。そうなると利用料金はかなり高くなります。チャンネルを覚えるのも大変です。そこで、こうしたコンテンツのラインナップを1つにまとめました。

 DAZNではJリーグの試合は、J1からJ3まですべてを観戦できます。海外サッカーではUEFAチャンピオンズリーグ(2018年から)のほか、ブンデスリーガ、プレミアリーグ、ラ・リーガなど欧州サッカーはほぼすべてを用意しました。
米国スポーツではNFLやMLBなど、日本でよく見られているコンテンツをラインナップしました。中にはニッチなものもあります。放送局だとコンテンツを追加するのに放映権が高額になりますが、我々の場合はさほど投資がかさみません。

 DAZNでもう1つ重要なのは、どの端末でもサービスを受けられることです。市場に出ている95%の端末をカバーしています。ユーザーは、何らかのコンテンツを見るために新しい端末を買いたいとは思っていません。
だから、我々は市場占有率が2〜3%の端末でも対応することにしました。スマートテレビでもタブレットでも。

■1年で7500試合以上を配信

 日本市場に参入してこの1年を振り返ると、合計で7500以上の試合を配信しました。世界でこれだけの規模でスポーツの試合を配信している事業者は他にありません。
イベント数では日本は1位です。視聴時間については合計で2200万時間を提供しました。これは2500年分の動画に相当します。

 もう一つ興味深いのは、ユーザーはモバイルで簡単に見たいけど、しっかりと見るのはリビングルームのテレビで見たいと考えていることです。ただ、日本では他国と端末別の視聴傾向が少し異なります。
というのは、NTTドコモとパートナーシップ契約を結んでいるため、「DAZNはモバイルサービス」と見られている傾向があります。実際、日本では多くの人がスマホでスポーツ中継を見ています(下の図からアクティブユーザーの約60%)。

画像:日本での端末別視聴傾向(図:Perform Group)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/070800035/120500042/DSCN6655.JPG

(後編に続く)

【了】

※後編より一部抜粋
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/070800035/120600043/?P=1&;ST=SIO-bus
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/070800035/120600043/?P=2&;ST=SIO-bus
 我々は日本市場に大きな期待をかけています。2019年にはラグビーW杯、2020年には東京オリンピックが開催されます。これから先の約3年は素晴らしい年になると思います。
 2018年にはロシアでサッカーW杯が開催されます。こうした3つの大型スポーツイベントを通じて、スポーツ観戦の仕方が変わってくると思います。
今、インターネット上でされているソーシャルでの情報共有、カスタム化した体験、データ分析などを持ち込み、観戦体験を高めていきます。
OTTは今後5〜10年で完全に普及するでしょう。そのとき、スポーツ自体が大きく変わっていると思います。

(関連スレに続く)