ロシア政府 今のところ公式反応なし

IOC理事会の決定についてロシア政府は、今のところ公式な反応は出していません。

今回の決定は、ロシア選手の出場が全面的に認められないというロシアにとって最悪のケースではないものの、ロシア選手団として出場できないという厳しいものであることに変わりはありません。

ロシアオリンピック委員会のジューコフ会長は、先月、ロシアメディアに対して「選手たちは自分の国のためにたたかっているので、中立の立場で参加することはない」と述べています。

スポーツの振興によって国威の発揚や国民の統合につとめてきたプーチン大統領にとって、ロシア選手団が活躍するオリンピックは、強いロシアを内外に示す絶好の機会で、多くのメダルが期待される冬の大会ではなおさらのことです。

ロシアの国旗の掲揚や国歌の斉唱が認められず、個人の立場でしかオリンピックに出場できないという今回のIOCの判断に対して、ロシアがどのような反応を示すのか注目されます。

ロシアの五輪メダル推移

オリンピックでロシアは、金メダルの数が旧ソビエト時代を含めて過去最低となった2010年のバンクーバー大会のあと、自国開催の2014年のソチ大会に向けて国を挙げて選手強化に取り組んできました。

ソチ大会で当時、獲得したメダルの数はバンクーバー大会の2倍以上となる33個に増え、内訳は金13個、銀11個、銅9個で、金メダルの数と総数は出場した88の国と地域のうち最も多くなりました。

競技ごとに見ますとフィギュアスケートの女子シングルとペア、それに団体で3つの金メダルを獲得したほか、ボブスレーなどのそり競技、スキーのクロスカントリーやスケートのショートトラックなどで金メダルを獲得しました。

しかしその後、国家主導のドーピングが明らかになり、IOC=国際オリンピックが検体の再検査を進めた結果、表彰台を独占したスキークロスカントリーの男子50キロフリーをはじめ、ボブスレーやバイアスロンなどで次々と違反が発覚して11個のメダルが剥奪されました。
現在のメダルの数は金9個、銀5個、銅8個の合わせて22個となっています。

そして来年のピョンチャン大会に向けては、すでに一連の再検査で、実績を残してきた25人の選手が参加資格を失った一方、フィギュアスケート女子シングルで世界選手権2連覇中の18歳、エフゲニア・メドベージェワ選手など、メダル獲得が有力視されている選手が大会への出場を目指しています。

フィギュアスケートをはじめカーリングやスノーボードなど、日本の選手にとってロシア勢がライバルになる競技もあり、メダル争いにも影響が出ることも想定されたため、IOCの判断が注目されました。