IOC=国際オリンピック委員会は5日、理事会を開き、ロシアが組織的なドーピングとその隠蔽を行っていたと結論づけ、来年2月のピョンチャンオリンピックにロシア選手団としての出場を認めないことを決めました。一方で、厳しい条件を満たした選手に限っては、個人の資格での出場を認めるとしています。
ロシアが国家ぐるみで組織的なドーピングを行っていたとするWADA=世界アンチドーピング機構の報告を受けて、IOCは、規律委員会と調査委員会による独自の調査を行い、5日、スイスのローザンヌで開いた理事会でロシアの選手を来年2月のピョンチャンオリンピックに参加させるかどうか議論しました。

その結果、IOCとして、ロシアが組織的なドーピングとその隠蔽を行っていたと結論づけ、ロシアオリンピック委員会の資格を停止し、来年2月のピョンチャンオリンピックへの出場をロシア選手団として認めないことを発表しました。

一方で、厳しい条件を満たした選手に限っては、個人の資格での出場を認めるとしています。

IOCはその条件として、過去にあらゆるドーピング規定に違反していないことや、IOCがWADAなどと設置する作業部会でピョンチャン大会までに合わせて2万件実施する、ドーピング検査を受けることなどを求めるとしています。

そして、出場を認められた選手はロシア出身のオリンピック選手として、オリンピックの旗のもと大会に参加できるとしています。
国家ぐるみのドーピングと隠蔽の手口 WADA報告書
WADA=世界アンチドーピング機構の調査チームは、去年、ロシアによる国家ぐるみのドーピングと、その隠蔽が行われていた手口について詳細を記した調査報告書を発表しました。

報告書によりますと、ロシアでは、WADAの公認分析機関だったモスクワ検査所がロシアスポーツ省の管理下におかれ、2011年末から2015年まで、ドーピング検査で陽性の可能性があるロシアの有望選手の検体について、結果のねつ造が行われていたということです。

この結果、夏と冬のオリンピックやパラリンピックの30以上の競技で選手やコーチなど1000人以上が関与していたと報告しています。

特に用意周到だったのが2014年のソチオリンピックです。
大会の前には、「ドーピングカクテル」と呼ばれるアルコールに筋肉増強作用のある禁止薬物、ステロイドを混ぜた飲み物が作られ、ロシアの選手に提供されていました。
このカクテルは、口に含むだけで薬物が体に吸収されるため、その後吐き出します。
さらに禁止薬物が検出される期間が短いため、大会の直前に使ってもドーピング検査で陽性になる確率が低かったということです。

また、大会で使われた分析機関では、事前にロシアのスポーツ省から提供された選手のリストを基に、検体のすり替えが行われていたことを指摘しています。
ソチオリンピックでは、検体が保管されている場所と隣の部屋の間の壁に「ネズミの穴」と呼ばれる小さな穴があけられていました。
この穴を使って、分析機関の担当者は採取された検体を深夜に部屋の外に出し、ロシアの連邦保安庁の職員が検体のふたを秘密裏に開け、事前に保存していたクリーンな検体とすり替えていたということです。
検体のボトルは、本来は割らなければ開けることができない仕組みになっていますが、大会の1年前にはロシア連邦保安庁の職員がその開封方法を生み出していたということです。
調査チームが、検体を顕微鏡で調べたところ、開封されたと見られるわずかな傷が見つかっています。

また、連邦保安庁の職員は配管工事などを装って、分析機関に出入りしていたということです。

つづく

12月6日 6時07分 nhk
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/k10011247931000.html