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女子体操選手など女性7人を性的に暴行した罪で起訴された米女子体操五輪チームの元スポーツ医師が22日、ミシガン州の裁判所で有罪を認めた。

ラリー・ナッサー被告(54)は、五輪代表チームとミシガン州立大学のスポーツ医師として働いていた1998年〜2015年の間に、未成年の体操選手を含む女性7人にわいせつ行為を働いたと認めた。有罪を認めた司法取引によって減刑されるものの、少なくとも禁錮25年が言い渡される可能性がある。

ミシガン州インガム郡地裁で開かれた罪状認否の審理の前には、五輪代表で金メダリストのギャビー・ダグラス選手が、被告による性的加害行為があったと名乗りを上げていた。五輪出場の米女子体操選手が同被告による被害を明らかにするのは3人目。

被告はすでに、連邦裁判所で児童ポルノ関連の罪状について有罪を認めており、終身刑が科せられる可能性もある。
量刑言い渡しは1月12日の予定。

ナッサー被告は22日の審理で、「コミュニティーが前進し、痛み苦しむのを止めるため」有罪を認めるのだと説明した。「マッチ1本が山火事になるみたいに、手が付けられないほど燃え広がってしまった。本当に申し訳ない」と被告は陳述した。
「みんなの傷が癒えてほしい。このコミュニティーが癒えてほしい。誰にも悪感情を抱いていない。自分はただ癒しがほしいだけ。その時が来た」と被告は述べた。

ローズマリー・アクイリナ裁判長は、「あなたは信頼される立場にいて、その立場をとことんおぞましい形で悪用し、子供を虐待した」、「何者にも危害を加えないという医師の誓いを破り、危害を加えた。自分勝手に」と被告を批判。性的虐待は全国的に「蔓延(まんえん)」している問題だと述べた。

被告に対しては130人以上の女性が被害を訴えている。中には、2012年夏季五輪で団体と個人総合で金メダルを獲得し、2016年にも団体で金メダルのダグラス選手、2012年と2016年五輪で団体と個人で金メダルを得たアリー・レイズマン選手、2012五輪で金メダル(団体)を得たマケイラ・マローニー選手も含まれる。

ダグラス選手はインスタグラムで被告について、「これまで自分の経験や色々なことを公表してこなかった。それは何年もの間、何も言わないように訓練されていたのと、中には本当につらいことがあったので」と書いた。

レイズマン選手は公判中にツイッターで、すでに医師免許をはく奪されている被告が法廷で「医師」と呼ばれていることについて、「本当に気持ち悪い。とても残念。(医師と呼ばれる)資格なんかない。ラリーは最悪に気持ちが悪い。ラリーは化け物、医者じゃない」と強い調子で非難していた。

ナッサー被告の事件が原因で、今年3月には米体操協会のスティーブ・ペニー会長が辞任に追い込まれている。ペニー氏は、被告による性的加害行為について速やかに司法当局に報告しなかったと非難されていた。

被告が司法取引に同意したと発表された後、五輪代表チームを決定する体操協会は、元医師に危害を加えられた選手がいたことを「非常に遺憾に思う」とコメントした。

(英語記事 USA gymnastics doctor Larry Nassar pleads guilty to sex charges)

米女子体操五輪代表チームの元チーム医師ラリー・ナッサー被告は少なくとも140人の女性に告訴されている
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レイズマン選手のツイッター
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