【江尻良文の快説・怪説】

2年ぶりの日本一奪回に成功したソフトバンクが早速、空中分解危機だ。
日本シリーズを4勝2敗で制し歓喜の胴上げから一夜明けた5日、球団は佐藤義則1軍投手コーチ(63)、鳥越裕介1軍内野守備コーチ(46)、清水将海1軍バッテリーコーチ(42)が今季限りで退団すると発表した。

佐藤コーチは楽天に4年ぶりに復帰。鳥越、清水両コーチは井口資仁新監督(42)のロッテに移籍する。
3年間で2度のリーグ優勝、日本一を果たした工藤公康監督(54)の“独裁色”が強まりそうだが、危険と背中合わせだ。

今年のリーグ優勝と日本一を、王貞治球団会長は高く評価している。リーグ優勝の際には、今季就任した達川光男ヘッドコーチと工藤監督のコンビを、
「厳しい指導の工藤監督と選手のクッション役を、達川ヘッドがうまく務めた」と称賛している。

そもそも、「現場の監督がやりたいようにやればいい。われわれは口出しせず、全面的にサポートする」というのが王会長の不変の姿勢だ。

日本ハムに大逆転優勝を許した昨オフ、達川ヘッドの“入閣”を目玉に1、2、3軍コーチ陣の大シャッフル人事を敢行したのも「われわれは口出しなんかしません。
工藤監督が考え断行したこと」と明言している。

だが、一方で球界OBがこう危惧しているのも事実だ。「ソフトバンクの戦力は12球団断トツで、バランスも良い。
孫正義オーナーがぶち上げている“V9巨人超え”も決して夢ではない。
だが、すぐにジタバタする工藤監督の采配が最大の不安だ」と。

それだけに、今回の内閣改造は危険と不安がついて回る。特に佐藤コーチの楽天への流出はリスクが高い。
投手コーチとしての評価は抜群で、星野仙一監督が阪神を18年ぶりに優勝させたときの投手コーチで、楽天を球界参入後初のリーグ優勝、
日本一に導いた“星野内閣”でも最重要メンバーだった。球界関係者がズバリ核心に触れる。

「楽天で田中将大、日本ハムコーチ時代にはダルビッシュを育てた、折り紙付きの名伯楽だ。
楽天に復帰するのも、星野球団副会長のヘッドハンティングだろう。折り合いが良くなかった工藤監督とすれば、東浜を自らの手でエースに育て上げた自負があるから、
日本一達成を機に、煙たい存在の佐藤コーチを切って思い通りに投手陣を動かしたいのが本音だろうが、危険だよ」

今季もチーム力とは裏腹に、序盤は楽天に独走を許し、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでもあわや敗退の危機にひんした。
勝負の世界は結果がすべて。来年の今頃、どういう事態になっているのか、見てのお楽しみだ。(江尻良文)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171111-00000016-ykf-spo
11/11(土) 16:56配信