「なぜ感染したのかわからない」

安室奈美恵、globe、篠原涼子――。曲作りを手がけた小室ファミリーと呼ばれるアーティストたちが1990年代、ミリオンヒットを連発した。売り上げたCDは1億7000万枚を超えるなど、天才プロデューサーの名をほしいままにした。

その一方、2009年に著作権の譲渡を巡る詐欺事件で執行猶予の付いた有罪判決を受けた。浮き沈みの激しい人生と言えるだろう。

病に気づいたのは12年9月。血液検査を受けたところ、肝機能の数値に異常がみつかった。約1か月後、専門の医師の診断で、C型肝炎だとわかった。

C型肝炎は、ウイルスに感染し、肝臓の細胞が炎症を起こして壊れる病気だ。治療しなくても3割は治るが、残りは慢性の肝炎になり、長い時間をかけて肝硬変、さらには肝がんになる恐れがある。

国内のC型肝炎ウイルスのキャリアー(感染者)は推計150万人。ウイルスが特定される以前に行われた予防接種の注射針の使い回し、近年はピアスの穴を開ける行為などが感染の原因とされるが、「なぜ感染したのかわからない」という。

血液検査を受けたのは、その前年10月、妻の桂子さん(globeのボーカル・KEIKO)がくも膜下出血で倒れ、自分も健康に気をつけなければと思ったためだった。「病気に気づけたのは、桂子のおかげなんです」

■小室哲哉さん ヒット減り、有罪判決、妻が倒れ、自身もC型肝炎に直面したが…

治療の副作用?言動が荒くなったことも…

「すぐに治療を始めた方がいいですよ」。2012年10月、医師から告げられた。
ショックはなかった。当時はC型肝炎に関する知識はほとんどなく、軽い病気だと思っていたからだ。

ただ、深刻な表情を浮かべる医師から、将来、肝硬変、肝がんになる恐れもあると言われると、「大変な病気なのかもしれない」と怖くなった。
治療は、肝臓からウイルスを排除する薬のペグインターフェロンを週に1回注射し、リバビリンという飲み薬を毎日服用するものだった。この治療では、発熱や頭痛、倦怠(けんたい)感などの副作用がある。

C型肝炎の治療は日進月歩で、現在では治療期間が短く、より効果が高い飲み薬による治療が中心になっているが、当時は過渡期だった。
治療開始から約1か月。医師からウイルスの反応は陰性になったと言われた。「もう治療は終わりか」。喜んだのもつかの間、陰性になっても半年は治療を続ける必要があるという。

治療の副作用なのかどうかわからないが、体に異変も起きた。「興奮状態だった。テレビ番組の収録で、言動が荒くなったことがあった。いつもの自分と違った」
治療中も、くも膜下出血で11年10月に倒れた妻の桂子さんの看病を続けていた。何よりも妻を助けないといけない。「心のよりどころがなく、つらかった」

つづく

11/4(土) 7:11配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171104-00010000-yomidr-sctch