制裁決議案にも敵対的な姿勢を強める北朝鮮への抑止力になるかは疑問符のつくところだ。

安全性への懸念

 「不参加ドミノを心配している。海外から見る不安を解消することができるように対処して広報するのが重要だ」

 韓国紙・中央日報(日本語電子版)によると、韓国の都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光部長官は9月26日、ソウルでの記者懇談会でこう述べ、平昌五輪の安全性を海外にアピールすることの重要性を強調した。

 聯合ニュース(同)によると、直前の同月21日にはフランスのフレセル・スポーツ相が地元メディアとのインタビューで「安全が確保されない場合、フランス選手団は国にとどまる」と話したと報じられていた。

 韓国文化体育観光部の次官が翌22日にフレセル氏と直接面会して確認したところ、「不参加に言及したこともなければ、検討したこともない」「インタビュー内容を歪曲され報じられた」などと述べ、フランスは平昌五輪に選手団を派遣すると明言したという。

 また、朝鮮日報(同)は、オーストリアのオリンピック委員会のカール・シュトース委員長が22日、現地メディアとのインタビューで「状況が悪化し選手の安全が保障されないなら韓国に行かないだろう」と述べたという。

 結局、オーストリアのオリンピック委員会は不参加への言及が大きく報じられた24日、平昌オリンピック組織委員会に「現在の状況はオリンピックの開催に影響がないことを確信する」という内容の公式コメントを伝えて火消しに走った。しかし、22日にはドイツ内務省が「平昌五輪の安全問題については政府が適切な時期に発表する」と、平昌の安全を問題視していることをうかがわせていた。欧州には五輪の開催地の安全性への懸念が広がっているようだ。

 この事態を受け、韓国外交部関係者は「根拠のない話が広まらないようにしっかりと管理していきたい」とコメントしたが、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮のため朝鮮半島情勢がさらに緊迫化した場合、「根拠のない話」と主張し続けるわけにはいかなくなる。

つづく

2017年10月11日 15時32分 産経新聞
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/13733310/