■長距離移動と時差によってコンディションを落とし、クラブでポジションを失うケースが少なくない。

「ワールドカップという意味では、正直、何の意味がある試合なのか。評価しづらいゲームになった」
 
2−1で勝利したキリンチャレンジカップ、ニュージーランド戦後の香川真司の言葉は、大きくメディアに報じられた。たしかに、ワールドカップ本番を想定した試合とは言いがたい。
何も意味がないとは思わないが、大きな意味があったとも思えない。香川本人にそのつもりがあるかどうかはともかく、選手からの発言はインパクトが強く、議論の呼び水になる。この提起を歓迎したい。
 
大前提として、欧州組は、日本で試合をすること自体にリスクを負っている。長距離移動と時差によってコンディションを落とし、Aマッチ直後のリーグ戦でポジションを失うケースが少なくないからだ。
今シーズンも吉田麻也が9月のAマッチ直後、サウサンプトンの試合でベンチに座り、レギュラーを奪われる可能性に肝を冷やした。
 
選手にとっては死活問題。ワールドカップ予選ならともかく、親善試合のために、このようなリスクを負うのは、果たして正しいことなのか。まして、今の香川はドルトムントで当落線上に立たされている。
前節のアウクスブルク戦でスーパーゴールを挙げ、レギュラー確保に向けて軌道に乗りたいタイミングだけに、この親善試合に疑問を抱くのは当然だろう。
 
逆に、このようなリスクを負って招集されるのなら、それなりの成果と課題を得たいが、格下チームとの試合では戦術も変わってくる。ワールドカップ本番につながるイメージを持てない。
「クラブでポジションを取れ!」とハリルホジッチに厳命されるなか、代表活動に足を引っ張られるダブルスタンダードに、香川はもどかしさを抱えていたのではないか。その本音がひと言、漏れたように思える。
 
ただし、今回のニュージーランドとハイチというマッチメークは物足りないが、仕方がない面もあった。
この10月は世界中でワールドカップ予選が開催されるため、欧州や南米の強豪とマッチメークするのは不可能。つまり、最初から対戦相手の選択肢が少なかった。

>>2以降につづく

10/8(日) 19:37配信 サッカーダイジェスト
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