スポーツに対する意識っていうのは、人間がどう生きていくべきかっていう意識と
つながっている。たとえば勝つためにサイボーグみたいになったっていいという
考えを否定していれば、ドーピングするという考えも出てこないはずだ。

あるいはオリンピックには男女ともに同じようにスポーツをしなければならないという
理念がある。高校野球みたいに男子はプレーをして女子はマネージャーしかできない、
っていうのは日本くらいのもので、野球の国際化のジャマになってる。

そういうことをまず認識して、スポーツは体育じゃない、学校や会社のために
やるものじゃないし、そこから色んなものが生まれるものなんだってことについて
まだまだ日本人の認識は甘い。


それと継続性がない。

たとえば国体なんか地元国体にはものすごく力を入れて優勝する。けど地元で
開催しない時には体育館も作らない。
オリンピックを呼ぶためにあらかじめ施設を作って国民にスポーツが浸透していると
アピールすることはできなくて、招致が決まってからあわてて施設を作ってる。

底辺を広げて生涯スポーツを楽しむためにも、本気で世界で勝ちたいと思う人が
強くなるためにも、関わりやすく、高いレベルを望みやすくすることが大事だ。

2011年9月10日 NHK「ニュース深読み〜スポーツ選手の夢と現実」より