現役時代、イタリアのユベントス、スペインのレアル・マドリーなど、欧州の名門クラブでプレーしてきた元アルゼンチン代表にとっては、当たり前のことを当たり前にしているだけだという。

脂身、濃い味、白米が並ぶ食事に監督があ然。 きっかけは、シーズン開幕前の沖縄キャンプだった。

 「なぜこんなに味付けが濃くて、脂っこいものが多いんだ!」

 エスナイデルは、宿泊ホテルのビュッフェ形式のレストラン会場であ然とした。

 テーブルに置かれたメイン料理は脂身のある牛肉、味付けされた豚肉に皮の付いた鶏肉、それに濃い味付けの魚まで……。

 パスタのソースも選び放題で、おかずもよりどりみどり、まさにリゾートホテルで食事を楽しむそれだった。選手の皿を見ると、牛肉、豚肉、鶏肉などがてんこ盛り、さらに白米まで添えられているのを見ると、ふつふつと怒りが込み上げてきた。

 「これはアスリートの食事ではない!」

 欧州の一線で活躍してきたプロフットボーラーの常識では、考えられないメニューだった。

 「私が要求するフィジカル的な負荷に対応できるようにするためには、食事から改善しないといけない。食事の質をもっと上げるべきだ。栄養価の高いものを摂り、無駄な脂肪は摂る必要はない」

監督から毎日のように届く調理法のリクエスト。

 体脂肪率は、12%以下にすることを徹底。監督は現役時代から信頼を置くアルゼンチン在住のフィジカルトレーナーの助言を受けながら、すぐに「食事改革」を断行した。高橋悠太GMをはじめ、チームスタッフに有無も言わさず、献立の変更を指示。沖縄キャンプ2日目からメイン料理は1種類のみとなり、パスタのソースも消えた。食事の手配をするマネジャーの福島佑馬は、監督に言われるがままにホテル側へ細かくオーダーした。

 「肉の脂身を全てカットし、素焼きでお願いします。豚肉は一切なし。パスタはゆでるだけで大丈夫です。ソースはなしで、粉チーズとタバスコだけを置いてください。フルーツ、ドライフルーツ、ナッツ、ヨーグルトは用意してほしいです」

 大学時代から連戦が苦手だった町田も毎試合のように前線から走り回り、「今年は動けている感覚がある」とコンディションの充実ぶりを口にする。家では夕食に麦ご飯を妻と食べており、「やってみないと分からないもの。効果はあるんですね」と納得している。

 エスナイデルは確かな手応えを感じている。

 「選手たちの意識は高くなっている。セルフケアの意味が分かってきた。サッカー選手は24時間、サッカー選手であるべきなんだ。体は商売道具、ケアして当然」

 選手の体をF1の車体にたとえながら、最高のマシンでも悪いガソリンを入れれば、ベストパフォーマンスは発揮できないという。

 「食べるべきものを正しく食べれば、もっと走れる」 エスナイデルの言葉は自信に満ちていた。

全文:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170908-00828827-number-socc&;p=1