人気の歌舞伎役者が明かした衝撃の告白に、多くの人がその身を案じ、一日も早い快復を祈った。しかしその会見の夜、彼は周囲の心配をよそに、酒に酔って大トラブルに巻き込まれていた。

 神奈川・鎌倉駅から徒歩数分の場所に、スナックやバーが軒を連ねる盛り場がある。5月20日の深夜、その一角にパトカーが駆けつけた。警官に連れられ、小さなバーから数人の男女が出てくる。皆、かなり酔いが回っている様子だ。

 その中で、「俺は何も悪くねぇよ!」と叫んでいたのは、歌舞伎俳優の中村獅童(44)だった。

 獅童が連行される様子を、他の酔客たちが心配そうに見つめている。その理由は彼が有名人だから、というだけではない。重病に侵されていることを世間に公表した直後だったからだ──。

 獅童は5月18日、初期の肺腺がんであることを、直筆の文書で明かした。肺腺がんとは、肺がんの一種で、肺の末梢(気管支の細い部分)に発症するケースが多い。がんの進行に伴い、空咳や血痰、喘鳴などの症状が見られ、体全体に激痛や倦怠感を覚えることもある。初期症状が出にくいため、早期発見は難しい。しかし獅童は書面で、次のように述べている。

〈今見つかったのが奇跡的と言われる程の早期発見で、この状況ですぐに手術をすれば完治するとの担当医師からのお言葉でした〉

 6月上旬から10日間ほど入院し、切除手術を受ける予定。その後はリハビリと療養のため、約2か月間にわたって舞台を休演する。自身の口から心境を語ったのは、文書での公表から2日後、20日のこと。この日、獅童は北海道帯広市で女性向けの講演会の予定があり、出発前の羽田空港でマスコミ取材に応じたのである。

 患部が肺だけに歌舞伎で重要な声に影響するのではという問いかけに対しては、「肺活量の9割は治療で回復する。あとの1割は自分の努力なので、奇跡を起こしたい」と回答。「同じ病の人に、早く見つかるとこんなに元気になるんだというのを自分の身をもって示したい」と力強く宣言した。だが、この「がん克服宣言」をした日の夜、“事件”は起きた。

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2017.06.11 07:00
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