特捜部は手詰まりか…日産執行部がおびえるゴーン身柄解放
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 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の後任人事を巡る駆け引きが本格化している。新会長の正式選任は今月17日の取締役会。候補選定を担う委員会を構成する
社外取締役3人は4日、初会合を開いたが、結論は見送られた。一方、ゴーンの勾留期限は今月10日。会長は解任されたものの、取締役はそのままで、取締役会で議決権を行使
できる立場にいる。東京地検特捜部はゴーン再逮捕に踏み切るのか。日産人事はこの先、ひと波乱、ふた波乱ありそうだ。

 新会長候補を選ぶ委員会を構成する社外取締役は、経産省出身の豊田正和氏、カーレーサーの井原慶子氏、ルノー出身のジャンバプティステ・ドゥザン氏。西川広人社長が暫定的に
会長職を兼務する案を軸に検討が進められているが、日産株を約43%を保有するルノーは拒絶してきた。

 ルノーはCOO(最高執行責任者)などの上級役員を送り込む協定をタテに、意をくんだ人物の会長就任をあきらめていない。とりわけ、ゴーン追放を主導した西川社長の兼任に
難色を示している。日産執行部がいま、大株主のルノーの動向以上に気をもんでいるのがゴーンの動向だという。

「ゴーン氏の身柄が17日までに解放されるようなことがあれば、逆上して取締役会に乗り込んでくるのではないか。マサカの展開に関係者はヒヤヒヤしているといいます。もっとも、
司法取引までして東京地検特捜部に全面協力した経緯がある。特捜部の“配慮”に期待を寄せているようです」(自動車業界関係者)

■「再逮捕は信じがたい」

 ゴーンの逮捕容疑は前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者と共謀し、2011年3月期〜15年3月期の役員報酬を実際より約50億円少なく有価証券報告書に記載したことによる
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)。特捜部は16年3月期〜18年3月期も約30億円ごまかした疑いがあるとして、同法違反容疑で再逮捕する方針を固めたとされる。

 元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。