実を言うと私は、この2島ポッキリ論には賛成で、珍しく(いや、初めてかな?)安倍と意見が一致した。しかし彼のやり方には反対で、ひとつには、言葉を曖昧にして国民をだまそうとする詐欺的手法である。彼は「4島の帰属の問題を解決して
平和条約を締結するという従来からの方針に何ら変わりはない」と言う。ところが、かつては「4島の帰属の問題」とはあくまで「4島一括返還」を要求して譲らないことを意味したのだが、今では「歯舞・色丹は日本の主権下、国後・択捉はロシアの
主権下とすることで帰属の問題を決着する」という意味であって、繰り返すが「2島先行」ですらもない。そのようにハッキリと説明して国民の支持を得るのでなければ、この難しい交渉は成功しないだろう。

 もうひとつには、時間の設定で、来年1月訪露、6月大阪G20の際のプーチン訪日で決着なら参院選の目玉として間に合うなどと小ざかしいことを考えてはいけない。こういうことは、まさに国家百年の大計に関わることだからじっくり
構えるべきで、焦ると足元を見られて失敗する。