「動くな!!」

先頭を歩く吉野が突然叫び声を上げ、皆に注意を促すと紗雪は驚きの余り織田の片腕にしがみつく。

「な、何よいきなり大声出して!ビックリするじゃない!!」
「そ、そうですよ!吉野先輩!漏らすかと思ったじゃないですかぁ…(ンコが…)イタタっ!」

紗雪は織田の幼稚な冗談に顔をしかめて腕をつねる。
しかし織田はいつの間にか紗雪と密着している事に気付き内心で吉野に賛辞を送っていた。
しかし吉野の次の言葉に織田は凍りついてしまう。

「いる…見られているな」
「「「え?」」」

吉野はバタフライナイフを器用にクルクル回しながら独り言の様に呟くと、真夏だと言うのに周囲の温度が一段下がった気がした。

「せ、吉野先輩!いるって何がいるんですか!!ま、まさかヤンキーですか!?」