しかしモテるようになって僕の心の穴が埋まったのかというと、埋まらなかった。書くことで「バカが治って、モテるようになれた」わけなので、ややバカじゃなくなった僕には「相手が傷ついていること」「相手が苦しんでること」が多少わかるからだ。
それでも、ひらきなおってインチキ自己肯定して本人は調子いいようなつもりでいたのだが、それは周囲からすると、わりとキモチワルい男なのだった。モテているのに。
そのうちに【加害者意識】が、つのりはじめた。
(二村ヒトシ「すべてはモテるためである」)