修学旅行の報告 三日目

この日は某テーマパークで7時間遊ぶ日であった
あんな細かい点検までして手に入れた自由時間である
ただ、自分には7時間もいらなかった

最初はクラスの子たちと遊んでいたのだが
「○時から■■ちゃんと約束してるんだ〜」
「今から彼氏来るんだ〜」
などと次々にみんないなくなってしまい
3時間経つ頃には自分は一人になっていた

一人でいることには慣れているはずだったが
きらびやかなテーマパークの光は容赦なく闇を浮かび上がらせる
あと4時間どうしよう……
適当にカフェっぽいところに入って時間を潰していた
三半規管の弱い自分はアトラクションを好まないし
一人で行列に並べるほどの度胸もない

カフェにも長居してしまったので、お土産でも買うかとショップに入ったところ
担任と鉢合わせてしまった
「あれぇ?ひとり?」 いちばん痛いところを突いてくるではないか
「絶叫系苦手なんで、買い物してるねーって言ってこっち来たんですよー」
苦し紛れの悲しい嘘をさも曇りのない真実のように言ってやった
修学旅行ぼっちだなんて、この親切な担任はものすごく心配するに決まっている
自分がぼっちである事実よりも、それを他人に同情されるほうが惨めだ

親戚の名前が書いてあるお土産リストを握りしめてお菓子を大量に買い込み
宅配便で送る手続きまで終わったのにまだ1時間残っている
アトラクションで楽しんできたであろうみんなが
お土産を買いにショップに入って行った
お土産選びは割と個人プレーなので、しれっとショップに入り込んでユウと合流した

ユウは男女バスケ部のメンバーでこのテーマパークを回っていたらしい
リア充乙と心の中でつぶやき、オススメのお土産を紹介してユウに買わせた
2時間ほど一人でショップをうろついていた自分に知らないことはない

「ユウちゃんと一緒だったんだねー!」
と、クラスの友達に言われたので否定しないでおいた
これで自分がぼっちになっていたことを誰にも悟られずに済む……
友達の優先順位というものを痛感させられた一日であった

三日目の報告終わり