04月10日の報告

「新幹線は停車時間が短いので、五分以内に全員乗り込むようにしましょう」と担任が言った
しおりにも書かれているこの文言、ほとんどの生徒は初めて聞くものだ
田舎の学校とはいえ学年で3クラスいる
おいおいマジかよという反応をする生徒たちに
「できるかな?じゃねぇよ、やるんだよ」と言ったのは数学の先生だ

体育館に三角コーンを並べてロープで繋ぎ「これが〇号車です」と言われても笑うしかない
床にテープを貼って「これがホームの幅です」と言われてもリアリティがない
集団で新幹線に乗る練習に本物が使えるわけがないのだが
もう少しなんとかならなかったのか

「ホームは狭いのできちんと整列して待ちましょう」
予め決まっている席順の通りに並んで待つ
「はい新幹線きまーす」と先生が言う
「新幹線のドアが、開きました!!」の合図で、入口とされる三角コーンの間になだれ込む
先頭のほうでコーンを倒したりして「お前ら新幹線壊す気か!」と怒鳴られていた

これがうまくいくまで繰り返されたのである
コーンを倒さなくなるまでに3回くらい要し、全部で10回以上やったと思う
田舎者が都会に出るには訓練が必要なのだ
先生方は「はいよくできました」と言ってくれたが本当にこれでいいのだろうか
我々は三角コーンの間を歩いただけなのだ

自由時間を懸けた点検はクリアしている
もう7時間は規定路線なんだろうとみんな薄々思っている
……よほどのことがないかぎり

部活の見学には男子が2人ほど来ていた
黒髪に話し掛けられた途端にオドオドしはじめたのがかわいそうだった

今日の報告終わり