群馬や神奈川など1都8県で「カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)」25店舗をフランチャイズ(FC)展開する群馬県太田市の「スカイスクレイパー」の社長に5月、アルバイト従業員の諸沢莉乃さん(22)が就任する。
高校から働き始めて8年目の抜てきに「年齢や雇用形態に関係なくキャリアアップできる職場を目指したい」と意気込む。(佐藤公則)

【写真】東京都内の店舗でカレーを掲げ、笑顔を見せる諸沢さん

(写真:読売新聞)

 高校に入学した15歳の時、横浜市緑区の自宅近くで同社が経営する店舗でアルバイトを始めた。先輩から笑顔と機敏な動き、爽やかさが大切だと教わった。接客を担当し、2年ほどで全国の店舗を対象にした接客の
コンテストで最終審査まで進んだ。「接客業の面白さを実感した」

 19歳の時、全国のココイチで当時15人しかいなかった「接客のスペシャリスト」に認められて間もない頃だった。50歳をメドに経営の一線から退こうと考えていた、スカイスクレイパーの西牧大輔社長(54)が「笑顔も元気さも、
接客姿勢も輝いている。後ろ向きの発言も人の悪口も言わず信用できる」と、後任として白羽の矢を立てた。打診を受け、「アルバイトの自分が社長になるのも面白いし、ワクワクした」と、迷わず「はい」と答えた。

 それから2年余り。社員約45人、パート・アルバイト従業員約390人を抱える年商約20億円の会社を率いるため、アルバイトを続けながら、店舗のとりまとめや経営を今なお勉強中だ。

 各店舗を回ってあいさつし、店長を約3か月間経験させてもらった。幹部会議などで司会を務め会社の動きを学び、西牧社長から提示された書籍やユーチューブ動画で、ビジネスマナー、人事や財務を含む経営などの
知識を蓄えている。西牧社長も当面は同社の会長として、「足りない部分があれば、その都度指摘し、フォローしていく」体制で臨むという。

 社長就任を前に、「現場に立ち続け、社員もパート・アルバイトも隔てなく、働くみんなに寄り添う存在であり続けたい」と語る。アルバイトからのたたき上げらしい顔をのぞかせた。

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