今年に入り、日本の宇宙事業が活発化している。和歌山県にロケット発射場を設けた宇宙事業会社「スペースワン」の3月の打ち上げは失敗したものの、1月の小型無人探査機「SLIM(スリム)」による日本初の月面着陸や2月の国産新型ロケット「H3」の打ち上げ成功などで弾みがついている。宇宙開発分野では日本は米国やロシアなどの後を追う立場にあるだけに期待が高まる。

一方で、この間、宇宙利用を持続可能なものにするための「地道」な取り組みにも動きが出始めた。宇宙空間を漂うスペースデブリ(宇宙ごみ)を除去する分野だ。デブリは、運用を終えた人工衛星、打ち上げ後に切り離された使用済みロケット、ロケットや衛星が爆発した破片といった役に立たない人工物のことを指す。実に地球の軌道上を周回する人工物の9割以上がデブリで、内訳では破片が半数以上を占める。

この〝厄介者〟のデブリに商機を見いだし、衛星通信大手のスカパーJSATが1月に除去を主な目的とした新会社、オービタルレーザーズ(東京都港区)を設立した。2月にはこの分野で先行する宇宙スタートアップ(新興企業)のアストロスケールホールディングス(同墨田区)が捕獲除去技術を確立するための実証衛星を米宇宙企業のロケットに搭載し、ニュージーランドから打ち上げた。

https://www.sankei.com/article/20240407-BHBW3KBK5VO3NJH7WRPPOJ2UUM/