◇権力関係がある

 ――群馬県桐生市は受給者に1日1000円ずつ手渡しするなど、異常な対応をしました。

 ◆生活保護の担当職員がみな、おかしな人であるはずはありません。ただ、生活が安定した公務員の立場にあるために、生活困難にある受給者を同じ市民として見ていない時があります。

 ◇毎朝7時に電話

 ――桐生市もそうですが、細かい指導をします。

 ◆生活保護法には指導をできる条文がありますが、同時に「被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度にとどめなければならない」などの規定もあります。抑制的であることが想定されています。


ところが、指示に従う義務も規定されていて、従わない場合は、「保護の変更、停止または廃止をすることができる」ともされています。

 ――強圧的になりませんか。

 ◆高齢者にせよ、障がい者にせよ、児童にせよ、福祉の分野では、以前は生活指導が重視されていました。しかし今は、自己決定権が重視されるようになっています。

◇安心できない

 ――生活保護は誰でも受けられる権利のはずです。

 ◆生活保護は権利だと政府も言っているのですが、困ったら誰でも生活保護を受けられる体制にならなければ権利として認識されません。

 桐生市だけではなく、どこにでも細かな抑制装置があります。私が知っている例では、相談ブースの壁に「不正受給はダメ」という、脅すようなデザインのポスターが張ってありました。

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