断崖絶壁近くで「『アレ』しに来たんか」「降ろすわけにいかん」…タクシー運転手が説得、自殺防ぐ


 加藤晶彦さん(54)は3日午前0時10分頃、JR紀伊田辺駅で女性客1人を乗せた。女性は途中で行き先を二転三転させ、最終的に三段壁に向かう途中で「降ろしてほしい」と言った。「『アレ』しに来たんか」と尋ねると、女性は「うん」と答え、「降ろすわけにいかん」と白浜署に送り届けた。
 植本敏一さん(68)は9日午後5時40分頃、JR白浜駅で1人の女性客を乗せ、三段壁に向かった。女性の荷物は小さいカバンだけ。表情も沈んでいるように感じた。「誰かと待ち合わせ?」「どこに行くの?」と問いかけたところ、女性は涙を流し始めた。その場で110番し、駆けつけた白浜署員に引き渡した。
 2人の女性はともに県外から訪れており、家族に引き取られた。いずれも、観光には遅い時間帯で、荷物の少なさや表情に注目して話しかけたことが奏功した。
 感謝状を手渡した原口憲司署長は「最初に接触するドライバーさんたちにこういった視点を持っていただくのはありがたい」と述べた。
 植本さんは「白浜を自殺の名所にはしたくない。楽しく過ごせる観光地であってほしい」、加藤さんは「死にたい気持ちを持つ人が、そう思わなくて済むように様々な支援が必要だ」と話した。

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