----------
習近平主席、今春フランス訪問へ最終調整…米欧の対中包囲網切り崩す狙い

 【ミュンヘン=東慶一郎】中国の習近平国家主席は、今春にフランスを訪問する
方向で最終調整に入った。中国政府関係者や北京の外交筋への取材で分かった。新
型コロナ禍以降、習氏が欧州を訪問するのは初めて。伝統的に外交の独自性を重視
するフランスを取り込み、米欧の対中包囲網を切り崩す狙いだ。

 関係者によると、王毅外相(共産党政治局員)が16日開幕のミュンヘン安全
保障会議に出席後、フランス入りし、ステファン・セジュルネ外相やエマニュエ
ル・ボヌ大統領外交顧問と習氏の訪問に向けて詰めの調整を行う方向だ。今年で
国交樹立から60年にあたる両国の人的交流の拡大や第三国市場、今夏のパリ五
輪での協力も話し合われる見通しという。

 ロシアのウクライナ侵略後、米欧では経済分野で中国への依存度を下げる「デ
リスキング」(リスク低減)が進む。外交・安保面でも、欧州連合(EU)が昨
年6月、新たな対中戦略概念に台湾有事への懸念を盛り込むなど、ロシアと同様
に権威主義的な中国への警戒が広がっている。

 フランスは、欧州は米国と一線を画すべきだと主張しており、マクロン大統領
は昨年4月、台湾情勢を巡り「欧州が米国に追随するのは最悪」などと発言して
いた。中国側は、対仏関係の強化を通じ、米欧が一枚岩になることを防ぎたい考
えだ。
----------
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240216-OYT1T50169/