12月は本来、水商売や風俗店の繁忙期で〝夜職〟全体が潤う月だ。
コロナの自粛もなくなって、この年末はキャバクラや風俗で稼いだ金をホストクラブに落とす女性客が増えるはず、だった。

しかし、無料案内所で紹介されたあるホストクラブに入店すると、驚くほど暇だったのである。
しかも、在籍しているのはホスト歴半年未満という新人ばかりで、7割がアルバイトだった。

それにしても、ホスト業界が受難の時代に突入するのが明らかなこの時期に、彼らはなぜいま、ホストをやろうと思ったのか。

「大学生で奨学金を払うため」「地下アイドルをしているが食べていけない。事務所に隠れて始めた」とさまざまな理由が聞かれたなかに、気になった1人が。
なんと、ほんの数カ月前まで「ビッグモーター」の社員だったというのだ。

このホストは営業部にいたため、事件は報道で初めて知ったそうだが、仕事は一気になくなり、査定数は1日1件の予約が入る程度。
給料も3分の1に減り、食いっぱぐれないようにと退職して、とりあえず次の職を探すまでのつなぎとしてホストクラブでのアルバイトを始めたという。

だが、面接からわずか1カ月で状況は一変した。

「ここまで規制が厳しくなるとは思ってなくて」と彼も不安そうだったが、今月、歌舞伎町の主要ホストクラブの代表者らは、売掛金による高額な支払いを来年4月までに廃止するなどの自主規制方針を発表した。

そんないま、新たに問題となっているのが、こうした何らかの事情で働けなくなった人の働き先がなくなることなのだ。
水商売は昔から、社会からはみ出た者のセーフティーネットだった。
とりあえず歌舞伎町に来れば、食っていくことができた。

ホストクラブは来年4月以降、相当数の店舗が閉店に追い込まれると予測される。
そのとき、歌舞伎町は失業者にとって受け皿となる街であり続けられるのだろうか。
https://www.zakzak.co.jp/article/20231228-F7XOXARGDZLXRG6VFVGBCTF3RY/