宝塚俳優急死の調査報告書、遺族側「納得できない」 上級生のいじめ、パワハラ否定に再検証訴え

宝塚歌劇団の宙組に所属する俳優の女性=当時(25)=が9月に急死した問題で、同歌劇団が14日に外部の専門家による報告書を公表したのを受け、遺族の代理人を務める川人博弁護士らが同日、東京都内で記者会見した。遺族側は、女性へのいじめやハラスメントを否定した報告書の内容について「納得できない」とし、改めて謝罪や適切な被害補償を求めた。遺族側は今後、報告書に対する意見書を劇団に提出し、11月末までに劇団や阪急電鉄と面談交渉を行う予定という。

 報告書が女性に対するいじめやハラスメントを否定した点について、川人弁護士は「内容は失当で、劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」とする遺族側の見解を述べた。「遺族は納得できない。報告書はハラスメントをなくすための適切な提言も行っていない」と指摘した。

 一方、長時間労働については「実態よりも過小だが、遺族側の主張にほぼ沿っている」と受け止めた。

 また、女性が上級生からヘアアイロンを額に当てられてやけどを負ったとする週刊誌報道を巡って、川人弁護士は「報告書ではやけどを負った事実は認定しているが、軽傷のように伝えている」と反論。遺族側の見解として「皮膚が赤く3センチも皮膚がめくりあがっている状態だった」「外傷が分かるほどひどい損傷」と説明し、再検証を訴えた。

 「報告書は、亡くなった本人がラインで家族に訴えたことをほとんど否定している」と批判。「遺族は『ここまで全部否定するのか』と、とても悔しく思っている。遺族のヒアリングや証拠提出もあったのに、やるせない気持ちがある」と話した。

 女性は9月30日、兵庫県宝塚市内のマンション敷地内で死亡しているのが見つかり、宝塚署は自殺の可能性が高いとみている。歌劇団は外部弁護士による調査チームを設置し、宙組団員60人以上を含む聞き取り調査を10月初旬から実施していた。

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