【ワシントン=冨山優介】米航空宇宙局(NASA)は10月5日、小惑星プシケに向かう探査機サイキを米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げる。プシケは主に鉄やニッケルなどの金属で構成されていると考えられ、こうしたタイプの小惑星に接近して調べるのは世界初だという。

プシケは、火星と木星の軌道の間にある「小惑星帯」に存在する。 楕円だえん 形で最大幅約280キロ・メートルと巨大な小惑星だ。地球や火星のような惑星の中心部分だけが残った状態だとされ、探査によって惑星の構造や形成過程の手がかりが得られると期待されている。

プシケには金も含まれているとみられ、米メディアによると、プシケの価値を金額に換算すると1000 京けい ドル(京は兆の1万倍)になるという。15 垓がい 円(垓は京の1万倍)に相当する。

サイキは打ち上げ後、6年かけてプシケに到着。プシケを周回しながら2年2か月の間、表面の観測を行う。研究責任者を務める米アリゾナ州立大のリンディ・エルキンスタントン教授(惑星科学)は「プシケを持ち帰れないので、我々が金持ちになるわけではないが、惑星と小惑星について多くのことを学べるはずだ」と話す。

プシケはギリシャ神話に登場する女神の名前で、サイキはプシケの英語での読み方。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20230926-OYT1T50099/