陸上自衛隊の防衛装備品である高機動車が海外に流出した問題で、海外から日本に「逆輸入」された車両もあることが、読売新聞の調べでわかった。解体して輸出後に現地で再び組み立てられた車両とみられ、2両の現物を記者が確認した。高機動車が逆輸入された場合、自衛隊車両への偽装など、安全保障の観点でリスクが生じる。

高機動車は耐用年数(14年)を過ぎて入札で売り払う際、悪用を防ぐため、陸自は破壊して再使用できなくすることを落札者に求めている。本紙は今年2、3月に栃木、長野両県で逆輸入された2両を確認した。自家用のナンバーを付け、形状や各部の特徴が陸自の高機動車と一致。運輸局に情報公開請求した結果、輸入の際に税関が発行した自動車通関証明書が開示された。

うち1両は2月、栃木県内の中古車店が約1500万円で販売しているのを現地で確認した。2016年3月に東海地方の中古車販売会社が輸入していたことが通関証明書から判明。経営者によると、車両はフィリピンのオークションで購入したという。車両は19年4月に関東運輸局栃木運輸支局で登録、ナンバーが交付され、運輸支局は「輸入車両が保安基準に適合したため、ナンバーを付与した」と回答した。

もう1両は今年3月、長野県内で自動車関連会社を営む男性が約3600万円で売りに出していた。通関証明書から15年10月に輸入されたことが判明。男性は「5、6年前、国内の会員制オークションで購入した」と話し、20年5月に北陸信越運輸局長野運輸支局で車両登録していた。防衛装備庁に2両の写真や動画を示すと「外観上の類似性は認められるが、自衛隊が売り払った車両と同一か判断するのは困難」と答えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/017de6a9aa34c1efd8cdd98b5a1a79657bb84f9b