http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/psycho/ptsd6-1.html

原爆の研究を続ける科学者のほとんどが、原爆投下に反対しているという事実もあります。
ルーズベルト大統領に「アインシュタイン書簡」を出した物理学者のレオ・シラードは、原爆の実戦使用に反対し、その請願運動を起こします。
それを知ったマンハッタン計画の幹部は、7月、対日戦争での原爆使用について、150人の科学者を対象に、次のような5項目の選択式アンケート調査を実施しました。


1 軍事的な観点から、アメリカ軍の損害を最小限に抑え、日本の降伏を早めるうえで、もっとも効果的になる方法で使用する。
2 日本で軍事的な示威を行い、あらためて降伏の機会を与えたのちに、降伏しなければ、完全な形で使用する。
3 アメリカ国内で日本の代表の立会いのもと、示威のための実験を行い、あらためて降伏の機会を与えたのちに、降伏しなければ、完全な形で使用する。
4 軍事的な使用は控えるが、示威のために公開実験を行って、威力を示す。
5 新兵器の開発の状況をできるかぎり秘密にし、今回の戦争での使用を控える。


その結果、(1)が15パーセント、(2)が46パーセント、(3)が26パーセント、(4)が11パーセント、(5)が2パーセントでした。
つまり、広島と長崎で実際に行なわれた無警告の全面使用に、85パーセントの科学者が反対していたのです(タカキ、1995年、180-181ページ)。
ふたつの原爆の投下は、核開発に従事する圧倒的多数の科学者の反対を完全に無視して行なわれたことになります。