https://news.yahoo.co.jp/articles/0d06b3841c410c6cf11d79df27da2ca615d3dfb4
勇気ある中学生の行動が、詐欺の被害から高齢女性を救い、心も温めた。
6月8日午後7時40分ごろ、高齢女性のもとに、息子を名乗る男から電話があった。電話の内容を信じた女性は足早に、自宅近くのコンビニへ向かった。
【写真で見る】警察署長に経緯を説明する男子生徒
その店舗には、ちょうど塾の休憩時間を過ごす横浜市立すすき野中3年の松本悠希さん(14)がいた。ATMを操作している女性が困っているように映った。
「大丈夫ですか」。そう声をかけると、女性から「息子にできるだけのお金が必要と言われた。百万円を引き出したい」と告げられた。日頃のニュースで同じような手口を見聞きしていた松本さんは「典型的な詐欺なのではないか」と直感し、「これは詐欺です」と女性の説得に当たった。
「息子の声に似ているの」。女性はなかなか話を聞き入れなかったが、「詐欺の人は声を変えてくるんだよ」と何度も力強く、優しく女性に訴えた。すると、女性も「そうなのかもしれない」と、ひとまず帰宅することを決めてくれた。
松本さんが塾に戻って、講師に一連の経緯を伝えると、「交番に行った方がいい。おばあさんがまたコンビニに戻るかもしれない」と助言を受けた。松本さんは全力疾走でコンビニに引き返した。詐欺の被害は免れたものの、だまされたことにショックを受け、店の前でしゃがみ込む女性の姿があった。
「家までおんぶしていくので乗ってください」
サッカー部で培った自慢の体力を生かし、約1・5キロメートル先の女性宅まで、30分近くおぶって送り届けた。
「本当にありがとう。助かりました」。女性は感謝の言葉を口にし、女性の息子からも後日、感謝の手紙が松本さんに届いた。
高齢女性の一家に幸せを運んだ松本さんは「詐欺を目の当たりにするのは初めてで、こんなにも人を苦しめるものなんだと感じた。助けることができて良かった」と誇らしげに笑った。
特殊詐欺を未然に防いだとして、青葉署は30日、松本さんに感謝状を贈った。橋谷田裕樹署長は「見本という行動。引き続き正義感あふれる行動をしてほしい」と勇敢な行動をたたえた。