香港(CNN) 中国中部の大都市、武漢市が地元企業数百社に債務の支払いを求める声明を新聞に掲載した。
極めて異例とも言えるこの対応は、中国の自治体の差し迫った財政事情を反映している。

武漢市の財政部局は26日の地元紙・長江日報で、259の企業や団体に対し、市への支払期限が過ぎた合計1億元
(約20億円)を超える債務の支払いを早期に求める声明を掲載した。

同紙の紙面を伝えた公営メディアの報道によれば、債務を負うのは公営や民間所有の企業、政府部局やシンクタンクなど。

財務部局は債権の回収が出来ないと明かし、債務者の金融資産に関する有益な情報提供があれば報奨金を支払うと発表した。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の震源地となった武漢での異例の発表は、中国の自治体が
直面する財政問題を色濃く映す。

習政権が進めたゼロコロナ政策では多くの市や省が予算を使い尽くした。昨年12月の政策転換を迎えるまで、こうした自治体は
ロックダウン(都市封鎖)や大規模検査、隔離施設の設置に巨額を投じた。不動産市場の不況も土地売却収益に大きく依存する
自治体の財政に追い打ちをかけている。

専門家の推計によれば、中国の政府や自治体の未払い債務は昨年123兆元(約2440兆円)を超え、そのうち10兆元近くは
危険性のある自治体の財政基盤が負う「隠れ債務」と呼ばれている。

一部の自治体は緊縮財政を理由に高齢者への医療給付を削減し、抗議が起きる事態になっている。他の重要なサービスも
継続が危ぶまれている。

武漢市の発表の数日前には雲南省の省都・昆明市の財政部局も債務の支払いに必要な資金繰りに苦労する状況となっていた。
雲南省は債務負担が最も重い省の一つで、債務の対歳入比率は昨年1000%を超えた。他にも貴州省が先月、財政状況の
整理の中で失敗を公に認め、政府に破たん回避のための支援を求めた。
https://www.cnn.co.jp/business/35204471.html