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いわゆる取り付け騒ぎが発生し、これらを受けて当局が介入せざるを得なくなったことで破綻に至ったのである。米連邦議会下院金融サービス委員会のマクヘンリー委員長は「史上初の、ツイッターであおられた取り付け騒ぎだった」と声明に綴ったとか。
米金融規制当局は12日、米銀シリコンバレー銀行の経営破綻を受け、全預金者の資金を保証するための措置を打ち出した。これによって預金者の資金は保護されることになった。預金保険の対象外の預金についても預金者に返還される。
そして12日にはニューヨーク州金融監督当局が、同州地盤の米銀シグネチャー・バンクの事業を同日付で停止したと発表した。10日に経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)に続く破綻となる。資産規模で全米29位のシグネチャー・バンクは米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入り、預金は全額保護される(13日付日本経済新聞)。
仮想通貨関連の取引が多かったシルバーゲート銀行の自主清算発表とSVB破綻を受けて、暗号資産(仮想通貨)関連企業との取引で知られるシグネチャー・バンクの信用不安も高まったことで、預金流出が加速した。こちらでもいわゆる取り付け騒ぎが発生し、これによって流動性が枯渇し、破綻に追い込まれた。
ゴールドマン・サックス・グループは最近の米銀行システムへのストレスを受け、連邦準備制度が来週、引き締めサイクルを一時停止すると予想し、今後数カ月の金利の道筋を巡る不確実性に言及した(13日付ブルームバーグ)。
市場では10日に発表された2月の米雇用統計も受けて、3月21日、22日に開催されるFOMCでは0.5%と利上げ幅を再拡大する可能性が後退し、0.25%のままとするとの予測が強まっている。しかし相次ぐ米銀の経営破綻を受けて、市場での不安心理も高まりつつあることから、ゴールドマン・サックスの予測のようにいったん利上げを停止する可能性もありうると思う。
2000年7月12日に大手百貨店のそごうグループが経営破綻したことで、日銀は7月17日の金融政策決定会合で「ゼロ金利政策」の解除を見送った。この際と同様に利上げそのものを見送る可能性はありうる。ちなみに次回8月の金融政策決定会合で日銀はゼロ金利解除を決定したが、その際に反対票を投じた一人が植田次期日銀総裁(当時、審議委員)であった。