物事がうまくいくと増え、期待が外れると減ると考えられてきた脳内物質ドーパミンは、期待外れの際も増えることを、京都大などのチームが動物実験で突き止めた。「意欲」に関わる
この物質が、挫折を乗り越える際にも働いているとみられ、心の仕組みの解明や、精神疾患の新しい治療法の開発につながる可能性があるという。論文が11日、国際科学誌に掲載された。

【図】ドーパミンはALSやパーキンソン病の治療とも深い関係がある

 チームの小川正晃・特定准教授らはラットを使った実験で、この物質を分泌する脳内のドーパミン神経の活動を測定。前脚でレバーを押すと甘い水が出たり、出なかったりする
装置を使い、甘い水を飲めた場合と飲めなかった場合の活動を比較した。

 その結果、甘い水が飲めなかった時に、少し遅れてドーパミンの放出量を増やす神経回路を発見。この回路を刺激すると積極的にレバーを押すようになった。

 ドーパミンは意欲が異常に低下するうつ病や、逆に異常に高まる様々な依存症と深い関係があるとされる。この回路に作用する薬を開発できれば、新たな治療法につながる可能性がある。

 松本正幸・筑波大教授(神経科学)の話「がっかりした時にもドーパミン神経が活性化することを示した非常に興味深い成果だ。情動や認知に関与していると考えられており、
研究が進めば、今まで知られていなかった働きが明らかになる可能性がある」

https://news.yahoo.co.jp/articles/82e288df133e96e5b6764273123c0bafd3970bf4