■岸田政権の経済政策にいら立ちがつのっている

岸田文雄内閣の「改革後退」にいら立った経済学者らが集まり、「制度・規制改革学会」という新しい学会が立ち上がった。

2月7日に東京・六本木ヒルズで開かれた設立総会では、これまで政府の規制改革に携わってきた八田達夫・大阪大学名誉教授と八代尚宏・昭和大学特命教授、竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授が理事に就任、八代教授が初代会長に選ばれた。

来賓としてあいさつした宮内義彦・元オリックス会長は「改革が動かない中で、学会を作るというのは複雑な気分だ。なぜ物事が動かないかという研究をするのでは意味がない。動かすための研究をしてほしい」と注文を付け、改革提言などを積極的に行う「行動する学会」になるよう求めた。

宮内氏は政府の規制改革関連会議の議長などを長年務めた日本の規制改革を主導した経営者の重鎮で、ソフトな語り口ながら、現状の改革停滞へのいら立ちを見せていた。

■「規制改革が経済格差を拡大」は的外れ

学会の設立にあたっては理事3氏のほか、岩田規久男、岸博幸、久保利英明、小林慶一郎、鈴木亘、高橋洋一、永久寿夫、夏野剛、野村修也、原英史、福井秀夫、藤原豊、矢嶋康次、柳川範之(敬称略)ら約40人が発起人に名前を連ねた。総会会場には川本裕子人事院総裁や国会議員も多数顔を見せた。また、河野太郎デジタル改革担当相、小倉将信・少子化対策担当相がビデオメッセージを寄せた。

シンポジウムでは八代会長と八田達夫教授が規制改革の現状についてプレゼンテーションを行い、その後、竹中教授と、政府の規制改革会議議長を務める大槻奈那氏がパネラーとして議論に参加。イェール大学の成田悠輔氏がオンラインでコメンテーターとして加わった。

八田氏らは市場主義に基づく改革が「新自由主義」のレッテルを貼られて批判されることを「的外れ」であると強調、「規制改革が経済格差を拡大した」というのも当たらない、とした。八代氏も岸田内閣が行っている「数々の社会主義的政策」では問題は解決しないとし、物価上昇などに対して補助金を出すことで価格を抑制しようとしていることなどを批判していた。


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