政府が今国会で再提出を予定している入管難民法改正法案に反対する大学生ら約40人が3日、東京・永田町の参議院議員会館前で抗議活動を展開した。参加者らは順にマイクを握り、「いまの法律でも問題なのにさらなる人権侵害に加担する法案提出は認められない」と声を張り上げた。
 外国人支援団体「BOND」やNPO法人「POSSE」が参加を呼びかけた。大学生の岩撫真輝さん(21)は、名古屋出入国在留管理局で収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が亡くなった問題に言及。「責任を取らないどころか、向き合おうともしない政府の態度に遺族はいまも苦しんでる。難民認定率1%以下でも帰れないのは、帰れない事情があるから。入管に収容されている高齢者は『ここが最後の場所かも。入管難民法改悪で死ぬしかない。なぜ、政府は当事者のいうことを聞かないのか』と言っている」と批判した。
 POSSEボランティアで英国在住の林芙美さん(29)は一時帰国中に駆け付け、「私は英国では移民だが、働いたり学んだりできる。それは私が日本で生まれたから。国から迫害受け命の危険にさらされている人が同じように暮らし、学び生きることができない。よい暮らしを求め移住し他国に行くのは罪なのか。皆自分の命、家族の命を守るためにここに来ている。それに刑罰科すのはとんでもない」と怒りを口にした。
 都内の女子大学生(20)は難民認定されたシリア人の友人がいるといい「彼女はとても辛く、とても苦しそう。『難民として日本で暮らす日々は全く人間として扱われている気がしない』と言う。狭い部屋、銀行口座も作れず、人間としての自由や幸せを謳歌おうかできる状況でない。現行の法律でも安心して暮らせるもので全くないのに、政府はそれを改悪しようとしている」と指摘した。
 旧法案は2021年の通常国会に提出されたが、ウィシュマさんの問題などの影響で採決が見送られ、同年10月の衆院解散で廃案となった。今回の改正案は旧法案の骨格を維持し、難民申請中の母国送還を可能にすることなどが盛り込まれるとされる。
 大学生らは今後も、抗議活動を毎週金曜日午後6時から7時まで参議院議員会館前などで続ける。(望月衣塑子)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/229346