きっかけは、1月29日にSNSで拡散された動画だ。

 動画には、回転寿司チェーン「スシロー」のボックス席に座った金髪の少年が、備えつけの醤油の差し口や未使用の湯呑みを舐めまわして元の位置に戻したり、回転レーン上の寿司に、指につけた唾液を何度も擦りつける様子が映っていた。

 翌30日、「スシロー」の運営会社「あきんどスシロー」の親会社である「フード&ライフカンパニーズ(以下、F社)」の株価は暴落。一時は時価総額で170億円が吹き飛んだ。

 回転寿司評論家の米川伸生氏が語る。

「今後は、注文品が届いたときだけゲートが開くシステムを導入するなど、当人以外が寿司にさわれないシステムを導入するしかないでしょう」

 F社に本誌が問い合わせると、電話がようやく繋がったのは、週末の夕方だった。

「取材だけでなく、お客様からのお問い合わせもたくさんいただいておりまして……。申し訳ございません」

 広報担当者は、突如降りかかった “寿司テロ” に、憔悴した様子だった。一方で、損害賠償についてはこう語った。

「刑事と民事両方で訴訟ということになります。犯罪行為ですし、私達も商売のダメージを受けている状況ですので。そういう事実をちゃんと清算していただこうと、法に則って進めていく所存です」

 動画の少年の本名や高校名は、すぐにネット上に晒された。本誌は、岐阜県内にある少年の自宅を訪れた。

 インターフォンに向かって取材の趣旨を告げると、玄関のドアが開いた。少年の母だ。母は記者が質問する前に、深々と頭を下げた。

「今回は、もう……。皆さんにご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ございませんでした」

 
https://smart-flash.jp/sociopolitics/220668/1