「薬学はOKだけど工学はダメ?」日本の女子高生が進学を諦める"親のバイアス"という深刻な問題

日本では大学進学で理系を選択する女性が少なく、理系の女性割合はOECD諸国で最低だ。なぜなのか。東京大学国際高等研究所の横山広美教授は「さまざまな要因があるが、そのひとつとして親のジェンダー意識が影響していると考えられる。ジェンダー平等度の低い親はそもそも進学自体に否定的であり、母親が「女子は数学が苦手」という間違ったステレオタイプを持っていると娘の理系進学が下がる」という――

(中略)

 数学・物理学を選択するにあたり男女差がある要因として、高校時の本人のジェンダーステレオタイプが与える影響が注目されています。本稿では、親のジェンダー意識や平等度、理系分野に対するイメージ分析を行った研究を紹介します

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■理系分野でも「女性向き」だと思われている薬学

 「薬学」が1番にきた結果を見て、「やはりそうか」との思いを持ちます。ほかの調査では、学問分野や就職へのジェンダーイメージにおいても、女性で「薬学」は上位だったからです。

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■人気分野になりつつある「情報科学」

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 3番目以降は「医学」「生物学」「歯学」と続きます。(中略)他分野に比べて学費がかかる学部ですが、資格を得て長く働けることもあり、子どもが希望すれば応援したい、という親の気持ちが表れているようにも感じます。

 「数学」「物理学」は真ん中あたりに位置し、その後「電気通信技術」「建築工学」「獣医学」と続きます。下位のほうにある「畜産学」や「土木工学」は、女性には向いていない・重労働で大変だというイメージがあるのではないかと、想像されます

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■5分野の反対理由が「女性には向いていないから」

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 反対理由はどうなっているでしょうか。「情報科学」「生物学」「物理学」「数学」に反対する理由は、「就職があるか分からないから」が最も多くなっています

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 理系分野への進学に賛成する理由は「就職に困らないから」が圧倒的ですが、反対の理由はさまざまです。しかし主に工学系の分野に、「女性には向いていないから」という理由が出てきており、このイメージをどうやって転換していくかと考えさせられます

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 さらに分析の結果、〈セスラ―エス〉のスコアが高い――ジェンダー平等度が高く、ジェンダーステレオタイプが弱い――親ほど、理系・文系のどの分野でも女子生徒が大学に進学することに肯定的であることが分かりました。一方で、スコアの低い――ジェンダー平等度が低く、ジェンダーステレオタイプが強い――親ほど、どの分野でも女子生徒が大学に進学することに否定的でした

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■親が子供の進学先に与える影響に注目すべき

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https://news.yahoo.co.jp/articles/904452cf6cf99150a541c1bf6a812a086e0915b6