脱原発のプラカードを着けた男性が受けた「注意」 駅員やバス運転手から…どうして?

 横浜市に住む男性が原発に関連する標語のプラカードを胸と背中に下げてJRや同市営バスに乗車しようとした際、駅員や乗務員(運転手)から「外してほしい」と求められた。プラカードは公共交通機関の場ではふさわしくない行為なのか。男性が「表現の不自由の空気を感じた」というが、その顛末てんまつは。(野呂法夫)

 昨年11月16日昼過ぎ。記者が川崎市のJR川崎駅から東海道線上り電車に乗ると、「原発を並べて自衛戦争はできない」と書かれたプラカードをつるしてドア付近に静かに立つ男性がいた。背中には「自衛隊を戦争のための部隊から災害救助即応隊にしよう」とあった。

 ロシアのウクライナ侵攻で原発が有事に標的となる危険性が問われるなか、関心を抱いて声をかけた。

 男性は小倉志郎さん(81)。2011年の東京電力福島第一原発事故後に原発の危険性を訴えてきた東芝の元原発技術者だった。

 小倉さんは私が記者と知ると新橋駅(東京都港区)で下車後、「どう思いますか」と話し始めた。横浜駅のホームにいると、30代とみられる駅員からプラカードを外すよう求められ、「駅構内にそんなルールを掲示しているのか」と尋ねると、「掲示はしていないが、駅という場所でやるべきではない」などと話した。結局そのまま電車に乗り込んだ。

 横浜市営バスの乗車でも同じ経験をした。9月28日に40代の運転手から「バスの中では外してほしい」と言われ、「誰かの指示ですか」と聞くと、「私の判断です」と。このときは運行を遅らせてはいけないと思い、外したという。

 小倉さんは2016年の参院選で改憲勢力が憲法改正発議に必要となる全議席の3分の2を超えたことに危機感を覚え、外出時に着衣サイズのプラカードをつるす一人デモを始めた。標語は「きみ!せんそうにいくなよッ きゅうじょうをまもろうよ」と社会情勢に応じて変えてきた。

以下略
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226106