円安に賭ける投機家は「覆面」介入に降参か-米CPIが次の試金石

日本の通貨当局は、円安と金利上昇を抑えようとする日本銀行に対して攻撃を仕掛ける投機筋との戦いで一定の成果を収めているようだ。

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円が対ドルで151円95銭を付けて32年ぶり安値を更新した10月、政府・日銀は単月として過去最大となる6兆3499億円の円買い介入を実施した。それ以後は円安進行に歯止めがかかっている。日銀が決定した金融緩和維持と米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ継続という、これまで投機筋が円売りの口実として利用してきたイベントもうまく乗り切った。
10日午前8時時点のドル・円は146円40銭付近で推移している。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「そこそこ介入は成功したと思うかと聞かれれば、答えはイエス」と語った。その上で、「結果としてうまくいったのは10月21と24日の介入だと思う。11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)まで待ってしまうと効果は乏しくなると分かっているので、早めに動いた」と分析した。
9月の介入以外は実施の有無を明らかにしていない日本の通貨当局は、トレーダーに付け入る隙を与えていない。思い通りにはならないということを海外勢に知らしめるため、明らかに介入とみられる動きはおおむね東京市場以外の取引時間に行われたようだ。
大規模介入と覆面介入の組み合わせにより、エコノミストの多くが予想するよりも介入額が少ないという結果につながっている。外貨準備のうち介入にすぐ投入できる外貨預金ではなく、外貨証券を活用した介入は、介入の上限とみられている外貨預金よりもはるかに大きな余力があることを示すための計算された動きでもあるようだ。
SMBC日興証券の山崎祐司為替・外債ストラテジストは、「介入資金は十分にあるという強いメッセージを送るのが狙いだろう」と語った。エコノミストの中には、日本が米国債を売っているとみる向きもある。米国債を売却すれば米国政府の反感を買うとともに、自ら米金利の上昇を促して新たな円安圧力を生じさせかねないため、懐疑的な見方があったにもかかわらずだ。

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-10/RL3RGRT0G1KW01