「ごめん」の一言がなぜ言えない? 「素直に謝れない人」の心理、カウンセラーに聞く

 明らかに謝罪が必要な場面において、素直に謝ろうとせず、その場をやり過ごそうとする人と遭遇したことはありませんか。中には、「ごめんなさい」の一言さえあれば問題なく収まったはずなのに、謝罪の言葉や態度が全くないことによって、さらなる大トラブルに発展するケースも見受けられます。

こうした、「素直に謝れない人」が職場や家庭にいるという人は少なくないようで、「同僚がこのタイプで、仕事に支障が出ることがある」「非があってもかたくなに謝らない妻と、最終的に大げんかになる」「自分の過ちを認めたくないのかな?」「どうして一言『ごめん』って言えないんだろう…」など、さまざまな声が聞かれます。

 謝罪が必要な場面で「素直に謝れない人」の心理とは、どのようなものでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

相手との間に「優劣」の意識がある
Q.明らかに非があり、謝罪が必要な場面であるにもかかわらず、素直に謝ろうとしないタイプの人がいますが、これはどういう心理からくる行動・態度だと思われますか。

小日向さん「大きく4つの心理状態があると考えられます。1つ目は『鈍感』あるいは『無知』で、そもそもそれが謝るべきことであるという意識がありません。2つ目は『防衛』です。自分が謝罪することで、自身に起きる不利益を避けたいという防衛心理です。例えば、仕事でミスをしたときに、それを認めて謝罪してしまうと、懲戒など自身に不利益があることが予測される場合、認めて謝罪することをためらう心理が働きやすくなります。

3つ目は、負けず嫌いが強い性格傾向です。事実がどうであろうと、『謝ったら負け』という価値観があります。そして、4つ目は他罰的思考です。『こんなことになったのは◯◯が悪いからだ』と社会や他人のせいにして、自身の行いを正当化する思考です。1つの心理が要因になることもありますが、これら複数の心理状態が絡み合っている場合もあります」

Q.「素直に謝れない」という性質は、どのように形成されるのでしょうか。

小日向さん「『他の人には素直なのに、パートナーに対してだけ謝罪しない』といった“特定の人”だけに謝らないケースの場合、その人は相手との間に『自分の方が格上』という上下意識を持っている可能性があります。

また、相手が誰であろうと謝罪しない人は、謝罪したことで当人がショックを受ける体験をしたり、そうした体験を繰り返し受けたりしてきた可能性があります。例えば、『素直に謝罪すれば許してあげると言われたため、認めて謝罪したところ、実際は許してもらえなかった』など、『謝罪して損した』『謝罪感情が裏切られた』といった体験や、逆に、『罪を犯しているのに、かたくなに認めなかったら無罪になった』といった、謝罪しないことによって得をした体験です。

これは、自身の体験だけではなく、成長過程で影響を受ける人のそうした姿を見てきたことで、それが本人の価値観として根付くこともあります」

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https://news.yahoo.co.jp/articles/480a596cbb55ba42cf3b3291af7724caed686a2e