「ブラウンノイズ」なるものがにわかに注目を集めている。それを聞けば集中力が高まり、ストレスが和らぎ、寝つきまで良くなるという。そんな魔法のような効果は本当なのか?
「ホワイトノイズ」や「ピンクノイズ」との違いは? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が科学的知見をまとめた。
【音声を聞く】聞いてみよう、「ブラウンノイズ」「ホワイトノイズ」「ピンクノイズ」
ADHDコミュニティでブームに
その音は、風や強い雨、あるいは一定の調子で続くジェット機の音のように聞こえる。どこか遠くで水が流れているような、扇風機がひんやりした空気を優しく送り込んでいるような、そんな音だ。
ブラウンノイズ・マニアの世界へようこそ。ブラウンノイズは、私たちの耳が感知できるすべての周波数の音を含む、中間的で濃密な音のカテゴリーで、時に曖昧に定義される。
ホワイトノイズに似ているが、より低くて深い質感を持っている。
この夏、ブラウンノイズは熱狂的な人気を集めた。ネット上のADHDコミュニティで瞬く間に広まり、彼らは初めてブラウンノイズを聞いたときの反応を動画にした。
その多くが、「ブラウンノイズを聞くと脳が落ち着き、心のなかの独り言から解放される」というものだった。他にも、ブラウンノイズは集中力を高めるだけでなく、ストレスを和らげたり、寝つきを良くする効果があるという報告が寄せられた。
YouTubeでは、8時間、10時間、12時間のブラウンノイズ動画が何百万回と再生されており、ブラウンノイズだけを流すSpotifyのプレイリストや、ブラウンノイズ再生専用アプリまである。
「間違いなく、ちょっとしたブームになっています」と語るのは、オハイオ州の児童青年精神科医で、ADHDの治療を専門とするシヴナヴィーン・ベインズ医師だ。
最近は来院する患者の多くがブラウンノイズやホワイトノイズについて質問し、SNSで見かけた投稿について話してくるという。
過去20年にわたり、科学者たちは、ホワイト、ブラウン、そしてピンクノイズのような没入感のある音が、とくにADHDの患者にとって、集中力や睡眠の向上、またリラックス効果をもたらす理由を解明してきた。
しかし専門家によると、音を区別・分類するのは難しく、それぞれの効果の違いは必ずしも確立されていないという。
「多くの音は似通っているか、互いに混ざり合っています」と話すのは、レジス大学薬学部のダニエル・バーラウ教授だ。彼はホワイトノイズがADHD患者に与える影響について研究している。
「人々が思うほど科学的なものではないのです」と彼は言う。
いかそ
https://news.yahoo.co.jp/articles/77c182cd91be56afb6b2ef79d599ceb43f859164