国株の中での外国人の持ち株比率は、20年1月には38・91%だったのに、22年9月15日には30・36%まで落ちた。

米国との金利差が広がれば、外国人の持ち株比率はさらに下落する。へたをしたら、外資の大撤退による金融・通貨危機にまっしぐらだ。

といって、米国の利上げに付き合って国内金利を上げていけば、「家計の大破綻」が始まりかねない。家計負債はGDP(国内総生産)規模にほぼ匹敵する。その大部分は不動産(=現に居住しているマンション)が担保であり、ほとんどが変動金利だ。

すでに住宅需要が萎縮し、不動産バブルが崩壊する兆しが次第に濃厚になりつつある。

韓国も食料自給率が低いから、ウォン安により食料品価格、とりわけ農産品の価格が急騰している。一時的現象だろうが、ほうれん草が1束8000ウォンに急騰したことがある。その時、右翼サイト(イルベ)には「暴動が起きるぞ」との書き込みがあった。貿易収支は赤字が拡大する方向にあり、経常収支すら怪しくなってきた。

そうした中で、台風11号によるポスコ浦項製鉄所の被害は甚大で、「完全な正常化までには6カ月を要する」とされる。

政争はますます醜くなっている。経済は光明の一点も見いだせない。いきおい与野党も、経済界も、マスコミも「日本・米国と通貨スワップを締結すべきだ」と叫び、尹政権を叱咤(しった)する。

韓国の政権が「スワップを結びましょう」と提案すれば、日米が応じると彼らは考えているのだろうか。

いや、そう考えているようだ。「反米政権から親米政権に変わったのだから、米国は韓国の要望を受け入れるはず」「日本とは歴史的にいろいろあったのだから、日本が韓国を特別に優遇するのは当然だ」と。

こんな妄想を抱いている限り、韓国は〝通貨3等国〟から脱出できないだろう。(室谷克実)

夕刊フジ
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