「ずっとわすれないよ」送迎バス熱中症死 1週間、現場祈り絶えず

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花々や飲み物が供えられた献花台。「なかよくしてくれてありがとう。ずっとわすれないよ」とのメッセージも添えられていた=静岡県牧之原市静波で2022年9月10日、丘絢太撮影

 静岡県牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」に通う女児が送迎バスに取り残され熱中症で死亡した事件。「ずっとわすれないよ」――。12日で発生から1週間となるが、現場では手を合わせる人の姿が絶えない。園が事件当日の不備を認めるなか、不備の連鎖をとめられなかった運営の実態解明に向け、県警が業務上過失致死の疑いで捜査を、県と市は特別監査をそれぞれ進めている。【深野麟之介、皆川真仁、丘絢太】

 亡くなった河本千奈ちゃん(3)は5日朝、登園のバスに同乗した園児5人とともに降車せず、施錠された車内に約5時間置き去りにされた可能性が高い。

 ◇園側、降車時の確認怠る

 園は少なくとも四つのミスが重なったことを7日の記者会見で認めた。「6人の子供が降りたのかを確認する、それだけのことがなぜできなかったのか」(3歳の娘を育てる30代女性)。降車時の園の対応を批判する向きは特に強い。

 園などによると、バスが園に着くと、同乗していた補助員の70代女性は最年少の2歳児に付き添って下車した。他の園児には自分で降りるよう呼び掛け、門を開けて園内へ。全員の降車を確認しなかったという。

 運転手はどうか。本来の運転手が休んだため急きょ代行した増田立義園長(73)も車内を点検せず、施錠した。会見で「運転に不慣れだった。運行記録の記入に気が回り、病院に行く用事もあって急いでいた」と釈明した。園が数年前にまとめた安全管理マニュアルで降車確認は補助員の役割とされ、補助員と運転手が二重にチェックする仕組みにはなっていなかった。

 70代女性はシルバー人材センターから派遣され、補助員の仕事は5日が初めてではなかった。女性も園長も「降車確認は相手が行う」と認識していたそうだ。

 「降車時は1人の職員が子供を誘導し、もう1人が車内点検をするのが長年の常識」。県内の元保育園長(74)は驚きを隠さない。静岡市葵区のとこは幼稚園は、補助員が園児の誘導と車内に残った子がいないか点検▽出迎える職員が降りた園児の人数を確認▽最後に運転手が車内を巡回――と三重のチェックに取り組んでいる。このため、川崎幼稚園のミスについて「普段からの慣れや、油断があったのでは」とみる。新型コロナの感染防止のため、沼津市の加藤学園幼稚園では降車後に職員が座席を消毒して回るといい、「そこでも園児が残っていないか確認できる」と強調した。