子どものインターネットやゲームの依存対策として利用時間の目安などを定めた香川県の条例は「憲法違反だ」として高松市出身の大学生と
母親が県に損害賠償を求めた裁判で、高松地裁は30日、「憲法には反していない」と判断し、原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。

この裁判は、香川県議会が制定し、2020年4月に全国で初めて施行された香川県ネット・ゲーム依存症対策条例を巡るものです。

18歳未満の子どものゲームの利用は平日60分、休日90分まで、スマートフォン等の使用は午後9時または10時までを目安として
家庭でルールを作り、保護者に守らせる努力義務を課しています。罰則はありません。

2020年9月、当時、高松市の高校3年生だった渉さん(19・名字非公表)と母親が「条例は憲法違反」だとして、
県にあわせて160万円の損害賠償を求め提訴。

裁判で原告側は、ネット・ゲーム依存症の定義や時間制限を設けることの「科学的根拠」が不明確であること、
条例が渉さんや母親の自己決定権や幸福追求権などの基本的人権を侵害していることなどを主張しました。

一方、被告の香川県側は「ネットやゲームの使用時間を制限、遮断することが、依存の予防や治療の一つの方法であることは
専門家によって繰り返し指摘されている」などとして条例の合理性を主張。

また、「利用時間については、家庭内の話し合いの際の目安を定めた努力目標であり、条例は香川県民の利益を
何ら侵害していない」として訴えを退けるよう求めていました。

判決で高松地裁の天野智子裁判長は「医学的知見が確立したとは言えないまでも、過度のネット・ゲームの使用が社会生活上の
支障や弊害を引き起こす可能性は否定できず、条例が立法手段として相当でないとは言えない」と指摘。

また、条例は原告らに具体的な権利の制約を課すものではないなどとして、「憲法に違反するものということはできない」と、
原告の訴えを退けました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ddbe04782d1aa89df97005cab7178b11524737a