https://www.newsweekjapan.jp/mobile/stories/world/2022/08/post-99395.php
<朝鮮人民革命軍のウクライナ東部への派兵計画が伝えられているが、失う物のない「無敵の軍隊」は、本当に戦況を変えるかもしれない>

北朝鮮がロシア軍を支援するためウクライナの戦闘地域への部隊派遣を検討していると、ロシアとウクライナ東部の親ロシア派支配地域の複数のメディアが伝えた。

北朝鮮はウクライナから一方的に分離独立を宣言した東部の親ロ派支配地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を7月13日に正式に国家として承認。その数日後には、この地域の復興事業を支援するため労働者の派遣を検討していることが伝えられ、さらにはドネツク州の法廷でウクライナ人捕虜の「戦争犯罪」を裁く裁判にも協力する意向だと伝えられた。

そればかりか、その後ウクライナ戦争への軍事介入まで検討していることが明らかになった。北朝鮮の派兵計画を最初に報じたのは、ドネツクとルハンスク(ルガンスク)両州を合わせたドンバス地域の親ロ派メディアだ。続いてロシアの国営テレビがこれを朗報として大きく取り上げた。

北朝鮮の軍隊はベトナム戦争で米軍と戦い、複数の中東地域で主にアメリカが支援する勢力と戦ってきた。加えてナミビア独立戦争からイラン・イラク戦争まで世界各地の紛争地域で直接的な介入を避けつつも、アメリカと敵対する勢力にテコ入れしてきた。

北朝鮮の介入でロシアが優勢になれば、西側諸国の関心は引き続き東欧にクギ付けになり東アジア情勢が注目されずに済む。なおかつアメリカには引き続き圧力をかけられ、北朝鮮にとっては一石二鳥だ。

しかも北朝鮮の軍隊がウクライナで戦うことになるのは、米軍の助言と訓練を受け、米情報機関と協力し、NATOから膨大な武器供与を受けている軍隊。北朝鮮にしてみれば、それは願ってもない実戦経験だ。

以下略